第72話 纏魔

おいおいおい!こりゃやばくないか!ってか、カラー=ジョーもう意識ないだろ!

こんなんただのモンスターじゃねぇか!

色々ヤバいぞ!


そう俺が思っていると先ほどまでとはレベルが違う動きで俺を攻撃してくる。

しかも、両腕の剣、体中からの寄生虫の吸血や酸、尻尾だと思っていた先端には毒蛇の顔がついており、そこから毒液射出および噛みつき両肩からはキメラが炎や吹雪を吐き出し、しまいにはカラー=ジョーの口からストーンキャノンが吐き出され飛んでくる。訳の分からない多段攻撃だ!


その瞬間、俺は『纏魔』を展開した!

『纏魔』とは先ほどカラー=ジョーをボコボコにしたものであるが、何かと言うと、属性が付与され強化された魔法を自身に纏わせることだ。


そして俺の勝手な私見だが、カラー=ジョーが今やっていることも『纏魔』だと思う。

あれはヤツ特有のユニークスキル色魔法を付与しているんだと思う。

ただ、さっきまでは自分に色を塗って属性の効果を得ていたが、今は絵と同化しているように見える。だからこそ、その魔力も増加したのだと思う。


だから、俺の『纏魔』とは違う形だが、あれを自分で考案し使えるってことは、カラー=ジョーは相当な才能の持ち主何だと思う。


だからと言って俺は負けていられない。

俺の『纏魔』は1分が限界。纏える属性も1種類だ。

そして、今纏っているのは『風属性』だ。『風属性』は身体能力を向上させ特に素早さを劇的にあげるものだが、石の体皮を持つような硬いヤツにはそれほどダメージが通らない。


ジリ貧だ。俺はあと10秒で限界が来る。

対するカラー=ジョーは底が見えないというか、自分の魔法に飲まれ暴走している気がする。だから俺が死ぬか向こうの身体が朽ちるかするまでは動き続けるんだろう。


これはヤバい。だが、負けられない。

ピピンはピピンで向こうでカラー=ジョーに強化された手下たち大勢と戦っている。

こうなったらやるしかない!


「後5秒!『纏魔二式』!!」俺はそう叫ぶと今まで成功したことのない2つの属性の同時展開を行った。


後3秒。「くそっ!制御が難しい!!」

後2秒。「ちくしょう!俺の言うことを聞け!!!」

後1秒。「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

後0.5秒「出来た!くらえぇぇぇぇぇ!!!!!!!」


ラスト0.5秒この一瞬だけ俺は自身の右拳に風属性と火属性を合わせて纏うことに成功した。


俺の拳は時を追い抜くがごとくの凄まじいスピードでカラー=ジョーを貫いた!!


そして次の瞬間、『ドン』と圧縮された空気が暴発したかのごとく轟音をならし爆発し、カラー=ジョーをその一撃を持って沈黙させた。


カラー=ジョーは纏っていた全てのモンスターが、あの一撃で粉砕されたのか、生身の状態に戻り、そしてカラー=ジョーは気絶していた。


「はぁはぁ、終わった。」

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