第70話 Painter
ペッ!と唾を吐きながらカラー=ジョーは不敵に言った。
「やるじゃねぇか!それなら、これはどうだ?」
カラー=ジョーは様々な色のペンキを中空に出したかと思うと、描くような仕草をした。
次の瞬間、ドラゴン、ワイルドブル、ブラッディータイガー、ケルベロス等の大型のモンスターが次々に描かれ、それらはまるで命があるかの如くこちらを襲ってきた!
ドラゴンは火を吹き、ワイルドブルはその大きな角で突進を、ブラッディータイガーは鋭利な牙で嚙みつきを、ケルベロスは3つの頭から異なる属性のブレスを吐き出した。
だが、コピーであるがゆえ、やはり本家本元とはいかず、スピードも威力も本家には遠くおよばない。
だが、それでも脅威であることには変わらない。
必死に避けていると、後ろから声が聞こえた。
「ずいぶんと余裕がなさそうじゃねぇか!これでもくらえ!!」
さっきのお返しとばかりにカラー=ジョーは俺の後ろを取り蹴りを放ってきた。
まとも背中に蹴りを受けた俺はそのまま地面に激突し立ち上がろうとしたところで、さきほど描かれたモンスター達の攻撃が殺到した。
「おうおう。さっきまでの威勢はどうしたんだ?もうボロボロじゃないか?」
「あぁ。正直お前がこんなに強いと思ってなかったよカラー=ジョー。お前はてっきり実力もなくて、陰でこそこそ隠れて悪さするみみっちぃヤツなのかと思ってたよ。お前の身体の色も変化してるところを見ると、さっきの茶色い魔法みたく強化したのか?」
「そうだ。俺の職業Painterのユニークスキル色魔法はよ。その色の持つ特性や属性を付与することもできるし、描いたものに命を吹き込み操ることが出来る。俺が描けば全てがその通りになるんだよ!最初はなんだこのクソみたいな職業はって絶望したけどよ、使ってみたらこの通りだ。で?どうする?俺の情報を漏らさない。金輪際スラムには近寄らない。今すぐにこの王都から出ていくってなら許してやるぜ?」
「あぁ…ありがたい申し出だけどさ。お断りさせてもらうよ。俺は残念だよ。お前にこんなに力があるのに、もっと上手く力を使えばもっとこのスラムをよく出来るのに。だから、お前は捕縛する。」
「ハッ!そうかい!じゃあお前もあいつも死んでもらおう!」
カラー=ジョーは再度大量にモンスターを生み出しすとともに自身にも色魔法でバフをかけ攻撃を仕掛けてきた。
「ハッ!もうボロボロで俺を追うことすらできないじゃねぇか!せめてもの義理だ。サクッと殺してやる!!」
そう言ってレイに攻撃を殺到させた。
しかし、次の瞬間声が聞こえた。
「すみません。エヴァンさん約束破ります!」
レイが消えた!カラー=ジョーにはそう見えた。
そして、レイを見失った瞬間にカラー=ジョーが生み出した数多のモンスターは塵と化し、カラー=ジョー自身も訳が分からない状態で吹っ飛ばされ地に倒れていた。
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