第69話 色魔法
戦闘が始まるや否やカラー=ジョーは両手から色の付いたペンキのようなものを噴出させた。
そして身体全体に茶色いペンキを塗りたくった。
何故か嫌な予感がしたので先手必勝とばかりに攻め拳打でラッシュを決め込んだ。
しかし、嫌な予感が的中したらしく、まったく手応えがない。むしろ岩を殴ったんじゃないかという位、手が痛い。
「なんつー硬さだ!ピピン気をつけろ!」
カラー=ジョーはそのまま拳を大きく振りかぶりピピンに振り下ろしてきた。
ピピンは自身の持つ盾を構え頭上から降り注ぐ拳に備えたが、『ゴンッ』と硬質な音が鳴り、ピピンの足が若干だが地面にめり込んだ。
「なんて重い拳なんだ!盾がへこんじゃったよ!」
カラー=ジョーから距離を取りながらピピンが叫んだ。
「ふん。この程度ではやられてくれないか。まぁいい。お前ら出てこい!」
そう言いながら、灰色のペンキを中空にまき散らしたかと思うと、ブレスを吐くがごとくペンキにその息を吹きかけたところ、ペンキの様に液体状だったものが、瞬時に煙幕に変わりあたりを覆った。
その間にカラー=ジョーの元に6人の大柄な男たちが物騒な武器(メイスや太刀、鉈)を持って集まっていた。
そして、先ほど自分に施したかのように、6人の男たちにも茶色のペンキをぶちまけていた。
すると、やはりカラー=ジョー同様に硬質化したように思われた。
「ピピン!くるぞ!」
「わかってる!何か堅そうだね!」
「こうなったら俺たちも本気でやろう。そうしないと大人しくしてくれなさそうだ。」
「わかった!俺が6人を倒すからレイはカラー=ジョーをお願い!」
そう意思疎通をすると俺たちは二手に分かれ飛び出した。
「おいおい。お前の仲間1人であの6人を止められると本気で思ってるのか?」
「あぁ思ってるよ。あいつは未来の英雄だ。たかだか6人ごときに遅れをとるようなヤツじゃないさ。それにあのペンキみたいなやつの効果もお前を倒せば無くなるだろうしな。」
「ご名答。でも、お前ごときが俺を倒せるかな?俺の色魔法の前でお前は無様にひれ伏すのさ!
そう言った瞬間、カラー=ジョーは赤いペンキの粒を無数に飛ばしてきた。
その赤い粒ははじめはただの赤い水滴の様であったが、こちらに近づくにつれ赤く燃える無数の炎の弾になり飛んできた!
ズガガガガッガーン!!
炎の弾幕が殺到しレイがいた場所は地面が抉れ炎の柱が立ち上り、一瞬であたりを燃やし尽くした。
だが、そこにレイはいなかった!
「なに?いないだと?どこへ行ったんだ!」
「俺はここにいるぜ!」
カラー=ジョーは自分の後ろから聞こえた、その声に反応し振り向きながらその剛腕を振るったが、そこには誰もいなかった!!
「残念。こっちだよ」
俺はそう言いながら後ろを振り返り拳を振るってスキだらけになっているカラー=ジョーの腹めがけて、気を込めた拳で渾身の一撃を見舞った!
「グフゥ!」
流石に手応えがあった。
カラー=ジョーは口から血を吐きつつ膝をついた。
俺の渾身の一撃が入った茶色の硬質な鎧はボロボロと音を立てて崩れ落ちていった。
ペッ!と唾を吐きながらカラー=ジョーは不敵に言った。
「やるじゃねぇか!それなら、これはどうだ?」
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