第66話 スラムの現状
先ほどの洗礼でボロがでなかったので、正式にスラムに入ることが許され、ピピンとスラムを歩いている。
このスラムは思っていたよりもずっとキレイで安全だ。
普通、スラムっていったら汚くて危険な場所だ。
だが、ここのスラムは整理されているように思うし危険を感じるようなことがない。
不思議そうに歩いていると1人の中年女性が声をかけてきた。
「ここは安全でしょう?それもこれも我らの王様がここを仕切っていた悪党たちを懲らしめて、代わりに統治してくださってるからなのよ!」
「ナン=ダッカーノ王がですか?」
「何を言ってるの!あなた!王といったらカラバッジオ様に決まっているじゃない!あんな愚図をだれが王だなんて認めるもんですか!カラー=ジョー様だけが唯一の王様よ!!」
「すまない。俺たちは今日このスラムに着いたばかりなんだ。ちょっと前まで王都で商売しようとしてたから、王様って聞いちまうと、どうしてもナン=ダッカーノを思い出しちまうんだ。許してくれ。俺らもアイツのせいでスラムに来たようなもんだから、気持ちはあんた達と同じだよ。」
「そうなのね。それならいいわ。」
「ところでさ、俺たちもこのスラムで生活していこうって思ってるんだが、その前にカラバッジオ様に挨拶だけしてスジを通しておきたいんだが、カラー=ジョー様がドコにいるか知ってるかな?」
「カラー=ジョー様はいつでも私たちのそばにいてくれるわよ。でもいいわ。それならこのスラムにある唯一の教会を訪ねるといいわ。そこにいる神父さんが教えてくれるわよ。」
教会に向かっている最中。
「おい。ピピン。お前はもう話すな!ヘタクソすぎるぞ。」
「ごめんよ~レイ~。」
「もう冷や冷やするよお前は。それにピピンもわかってるだろうけど・・・」
「「尾行されてる」」
「そうだ。相手は俺たちのことを本当の流れ者か、王様の犬かを図っているところだろうよ。」
「図っているの?」
「あぁそうだ。尻尾をだすのを待っている状況だろう。そうでなければ俺たちはとっくに襲われているか、スラムに入ることを許されていないはずだ。だが、状況からして相手は十中八九俺たちが王の手先だと気づいていると思う。」
「なんでわかるの?」
「やっぱ俺もスラム出身だし、それにイーサ師匠と一緒に義賊やってたからかな?肌感ってやつかな?なんとなくわかる。」
「そ、そうなんだ。疑われてる原因って僕だよね?」
「ん~まぁそうとは言い切れない。多分俺たちの身のこなしだったり、ピピンのたどたどしい感じと俺のこなれている感じが凸凹で不自然に感じて怪しいと感じられてるんだと思う。」
「それは心外だよ!僕とレイはずっと友達だ!」
「ありがとうな。でもそういうことじゃない(笑)でも、これも俺の予想だけど、多分相手は教会で仕掛けてくると思うぞ。だから用意しとけ。」
「わかった!」
そうして俺たちはスラムの教会に着くのであった。
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