第61話 ワイルドブル
中央国家ダッカーノ王国を訪れたら『ワイルドブル』へ行かないと損をする。
あそこはダッカーノ王国一美味いブルを出す店だ。
『ワイルドブル』の店名にふさわしい荒々しく焼かれたステーキを食べたら、他のステーキが食べれなくなる。
それくらい美味い店だから一度訪れるといい。
~ヤギュー著 『喰歩記』より抜粋~
そんな本にも載るくらい店だったとはつゆ知らず、オルファスさんのオススメだからと来てみたら、凄い熱気だ!!
店は人でごった返している。
何よりも店に入る前から美味しい匂いが店の周りを充満している。
高級な鉄板焼き屋さんとは違う、さながら前世でいうところの『いきな〇ステーキ』とか『ケ〇ディ』って感じだ。
今更だが、『ケ〇ディ』の半額みたいなシステムが好きでよく通ってたな~潰れてしまってショックだったな。
あまりにも美味しい匂いのお陰で、最近めっきり思い出さなくなっていた前世の記憶を思い出してしまった!
ここは間違いなく美味い!!
店内は外よりも更にステーキの焼ける良い匂いが充満しているし、焼けたときに飛び散ったであろう脂で床がツルツルヌルヌルだ。
更に期待のボルテージがあがったところで、席に着く。
ドン!とメニューが置かれたので見てみる
~メニュー~
〇ワイルドブルステーキ 銅貨5枚
〇シルバーブルステーキ 銀貨1枚
〇ゴールデンブルTボーンステーキ 銀貨3枚
〇スペシャル 銀貨5枚
スペシャルって何だ?と思って、店のおばちゃんに聞いたところ、スペシャルは「ワイルド、シルバー、ゴールデンの3種のTボーンの食べ比べセット」とのことだった。
日々の地獄の修行に加え、先日の王女救出の報奨金がたんまりあるし、久々の休みなので、スペシャルにした!
「前払いだよ!!」と恰幅のよいおばちゃんの声に金貨1枚で支払ったところ、隣にも俺と同様にスペシャルを頼んだ人がいた。
「おばちゃん!スペシャルちょうだい!銀貨5枚?ちょっと待って!あれ?銀貨4枚と銅貨8枚しか…え?いやだいやだ!アタシこれを食べるために一か月頑張ってきたのに足りないとかアリエナイ!待って!おばちゃん待って!きっとあるから!探すから!」
と、隣で褐色の女の子が財布を何度も何度も確認するが見つかる様子がなく、涙目になっている。
さすがに見かねた俺は、おばちゃんからお釣りをもらうと、銀貨1枚をそのまま、おばちゃんに渡し「これであの娘の足りない分払ってお釣りは、おばちゃんにチップね」と言ったら、おばちゃんは大変ご機嫌に俺たちの前から去っていった。
「なっ!!神が!ここに神がいた!!ありがとうございます!!お礼に抱かせてやってもいいぜ!」
と褐色の女の子がシンシアかあさんには負けるが(そもそもあの人に勝てる人はいないはず)存在感のあるその双丘を俺に見せつけるように言ってきた。
「え!いやいや!気にしないで!美味しそうだもんね!俺も食べ、食べたい気持ちわわわわかるから!」
とカミカミで返答したが、女の子は目が『肉』になっていて俺の話は聞いていない様子だった。
あれ?俺からかわれた?
ショボンとしてると、ドンッ!!と音が鳴りスペシャルが俺の前に置かれた!!
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