第59話 学者シュト
学者のシュトさんは小人族なんだそうだ。
小人族は大人でも身長は120セルチくらいしかない。
腕力もそんなに強くないらしく、冒険者ではあまり見ない種族だ。
ただ、冒険者でも強い小人族はいくらでもいる。あくまでも、あまり見ないだけだ。
そんな小人族は体格が小さい分、知識に特化している人が多い種族である。
そして、この目の前にいる学者のシュトさんもそうなのであろう。
だから思い切って聞いてみた。
「『大食漢』という職業について知りたい。」
「おお!『大食漢』とな!珍しい職業を調べておるの?まさか君は『大食漢』なのかな?いや、みなまで言うな!わかる!わかるよ!じゃあ僕がそんな君を救おう!僕が知っている限りの知識を君に教えようじゃないか!!」
この人は興奮すると口数が増える人のタイプだなって思ってたら、何やら『大食漢』についても知っている様だったので教えてもらうことにした。
「うむ。まず世間一般で言われておる『大食漢』のイメージじゃが、これは嘘だ。残念ながら大食漢の職業を得て活躍する者が、ここ数百年とおらぬから、本当の事実が風化してしまった。嘆かわしいことじゃ。大食漢を得るものは数十年に1人はおるが、結局本質を見ずに諦めて終わってしまう。それこそ僕なんかからすれば『勇者』より素晴らしい可能性を秘めていると思うのだが、、、」
今この人サラッと凄いこと言った気がするぞ!?
「大食漢はな、腹いっぱい食べたら身体能力が向上する。これは一般的に知れているが、一般的に思われていることはせいぜいゴブリンを倒せる程度に強くなるってことくらいだ。だが、これは間違っている。大食漢はな、普通の食事ではなく、モンスターを喰らえば、そのモンスターの能力を一時的にだが引き継ぐことが出来る!僕は禁書を読むことも許されている身なんだが、禁書の中にそう書いてあった。つまりだ、ドラゴンを喰らえばブレスを吐くこともできるということだ!どうだ!凄いでしょう!」
シュトさんは饒舌に語ってくれたが、残念ながら俺は先日自分なりに仮説を立てて実行したので身をもって知っている。もう少し他にわかるかと期待していたんだけど…
っというのが顔に出ていたのだろうか、
「むっ!その顔はすでに知っていたか!」
「はい。先日実践しました。」
「なんと!では真であったか!」
「はい。」
「なんと素晴らしい!今度僕に実際に見せてくれないか?」
「あっはい。いいですよ。」
「む?浮かぬか顔をしているな」
「いや、そんなことはないんですけど、正直もっと他にも発見あるかなって期待してたんで…」
「おぉ!そうでしたか!それは済まないことをした。だったらお詫びと言っては大袈裟かもしれないんだけど、これも禁書に書いてあったことで僕が実際に目にした訳ではないから、確実とは言えないんだけど、ひとつお話をするよ。これが、僕が先ほど、『勇者より素晴らしい可能性を秘めている』と言ったことに繋がるのだけれど、君は『クラスチェンジ』を知っているかな?」
「はい。知ってますよ。『勇士』が『勇者』になったり、『魔法使い』が『大魔道』になったりする奴ですよね?『大食漢』にもそれがあると?」
「そうです。君は物分かりが早くていいですね!禁書に書いてあったのは、【ある一定の条件を達成した暁には『大食漢』は、すべてを喰らうものとして『××』となりて、これまで喰らった全ての能力を使用することが出来る。また、一定以上の条件を満たしたものを喰らえば能力だけでなく、そのモノのステータスを血肉に変え、ステータスの常時向上をさせることができる。】と書いてあったのだよ!これは素晴らしいことだと思わないか!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます