第53話 黒幕と爆弾発言

イルワ大臣は目を覚まし全てを悟ると、その悪事のすべてを語るのであった。


やはり、ナン=ダッカーノ王やマリアン王女、エリーナ公爵の考えた通りであった。


イルワ大臣はコズ=ルイ男爵、マルクス=ケーゲラ辺境伯やその他各地に散らばる子爵や男爵を使い領地から不当に税金を上納させ、その私腹を肥やしていた。

その金を使い自分に従わない者を裏家業のものに始末させていた。


そもそもなぜこんな事を始めたのか聞いたところ、「30年ほど前に神からの天啓があったからだ」とのこと。


そして、その『神』は複数回に渡りイルワ大臣に、その指針を告げてきた。そんな中で15年ほど前の天啓でこう告げたとのこと。

「後、15年前後の時が経ち、機が熟した時にお前に使者を送る。その使者はを持っている。その芥子色の液体を自身がこれまでに築き上げた傘下にばら撒け。さすれば、最終的にお前が王となり、この国だけでなく世界を征服できる。お前にはその器がある。」と。


イルワ大臣いわく、「今となっては世界征服などバカバカしいが、『神』からの天啓を聞いたときは実際にそれが可能だと思った。」とのことであった。


この『神』とやらは間違いなく『邪神』だろうし、芥子色の液体を持つ使者というのも十中八九、『邪神樹アンノウン』だろう。


どうやら、『邪神』と「邪神樹アンノウン』はこの世界のいたるところで悪さをしていることがわかった。


俺の使命は前途多難だな。


そんな重い話を聞いた後、その他の処分や褒賞なども一緒に聞いた。


まず、フランソワさんだが、本来であれば反逆罪で死罪だが、脅迫されていたこと、最後までマリアン王女の命を助けようとしていたこと、マリアン王女の嘆願などがあり、異例の無罪。ただし、今後いかなる理由があろうと死すまでマリアン王女に仕えることが決められた。


イルワ大臣だが、本来であれば国家転覆罪で死罪だが、これまでの表向きな国への貢献と『邪神』に関する情報の提供と、この国でイルワ大臣の命の元、現在でも悪さをしてる領主たちを自ら教えたことで減刑され無期限の投獄となった。それも民には事情を隠しあくまでも『病気により退いた』とイルワ大臣の功績を称えた形でだ。


トナーリ街での怪我を癒していた侍従たちに関しては王からの褒美として一か月間の休暇と一年分の給金がマリアン王女の命を身をもって護ったことが評価され与えられた。


そして、ある意味人物がいる。

それは、商人のショウコン=タクマーシさんだ。

彼はマリアン王女がただ者ではない出自だと薄々気付いていたのかもしれない。

だが、そんなことを言わずに「貴族の方と縁が出来たのはいいことだ」と言って、傷ついた侍従の休める宿の手配や薬の提供。それに加えて俺たちに魔道具を破格で譲ってくれたりした。

そういったところが、王にもマリアン王女にも高評価だったらしく、彼は王家お抱えの商人になった。

それこそ、王城に呼び出されてマリアン王女と対面した時は「ドヒャー!!」と驚いて本当にひっくりかえっていた。


俺たちであるが、俺たちにはそれこそ1年は豪勢に遊び歩いてもなくならないほどの報奨金があたえられ、さらに望むものが与えられた。

俺とピピンが望んだものはエヴァン騎士団長と『五芒星騎士』との訓練とレアな魔道具だった。

それらは快く受け入れられた。


最後のご褒美を要望したのはマリアン王女であった。


1つ目は『王になることを当面の間辞退する』ことであった。

これは今回のことを通してまだまだ王としての資質がなく、まだまだ王として民の上に立つために勉強が必要とのことを痛感したからとのことであった。

これに対しナン=ダッカーノ王は快く受け入れた。

多分自身もイルワ大臣のことがあったので思うところがあったようだ。


そして2つ目。


『私のことを護り、マリーと叫んでくれた、ピピン=フツーノ様と結婚がしたい』


この願いを聞いた王は卒倒し、エヴァン騎士団長や五芒星騎士は吹き出し大爆笑。

当のピピンは赤面して固まり立ったまま魂がどこかへ飛んで行っていた。


2つ目は王が目覚めた後にで保留となるのであった。

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