第52話 イルワ大臣の誤算
ナン=ダッカーノ王が口を開いた。
「もうよい。イルワよ。儂はお主に失望したぞ。この国に蔓延っている諸悪の根源がお主だったとは。」
イルワは更に動揺をし必死に取り繕おうとしたが、
「よい。全てはここにいるマリアンから聞いた。法外な借金をフランソワの両親にかけるだけにとどまらず、両親や村人、果ては侍従の命まで人質にとりフランソワを操りマリアンの暗殺を企てていたことも、辺境伯や子爵、男爵などを使い不当な税を徴収し私腹を肥やしておったことも全て聞いた。儂はお主を信頼しておったが間違っておったようじゃな。何か申し開きはあるかの?まぁエリーナ公爵からの報告書もあるしの何を聞いても儂にはもうお主の言葉は届かんがな。」
ナン=ダッカーノ王は、そう寂しそうに最後通告を行うのであった。
ガクリと膝をついていたイルワ大臣は立ち上がり、そして開き直り言った。
「この愚王が!私がいなければこの国はとうに終わっていたわ!今まで通り私の言いなりになっておれば良かったものを!!こうなればこの場で貴方を亡き者にし私が真の王となりましょう!!」
そうイルワは言い放つと同時に懐から取り出した芥子色の液体を飲み干そうとした。
だが、それは叶わなかった。
なぜなら今しがたまで芥子色の液体を持っていた腕がないのだ。
あまりにも一瞬のことで痛みすら感じていない。
肩から下が斬り落とされたことに気が付いてから痛みが襲ってきた!
「ぐぁぁぁぁぁ!腕が!私の腕がぁぁぁぁぁぁ!!!」
「すみませんね大臣。事前にマリアン王女より芥子色の液体の持つ特異性を伺っておりましたので、もしかしたら使用されるかもと思い警戒しておりました。そうしたところ正にその通り芥子色の液体を使用されようとしたので斬り落とさせていただきました。」
そう笑いながら言い放ったのは、どこからか一瞬にしてこの場に現れた男。その男は、黄金色の鎧を纏う王都最強の白金級の騎士であるエヴァン騎士団長であった。
「なぜだ!なぜ!お前がここにいるっ!お前はあいつらと一緒に!」
動揺する大臣を他所に彼は続けてこう言った。
「たまたま、偶然にねテレポストーンを手に入れましてね。本当たまたまなんですけどね!そしたら、国の危機だっていうじゃないですか!そしたら、アイツがテレポストーンに魔力込めたもんだから、俺たち帰ってこれたんですよ!なので、国の危機であるココに今いるんです!あっそうそう!路地裏の戦いも、もう終わっているはずですよ。私の騎士団の精鋭である
その言葉を聞いた大臣は腕の痛みとともに自身が本当に詰んだことを悟って気絶した。
~路地裏~
ピピンは2対1で苦戦している。俺もケンタウロスが早すぎて決めきれていない。なにより心配なのがフランソワさんだ。万全ではないし何より実力差があり過ぎる!このままでは危ない。
そう思い焦りが生じたその瞬間に風が吹いた。
「君は目で相手を追い過ぎている。悪いことではないが時には俯瞰して見ることも気を感じ取ることも大切だ。それが出来れば君はまだまだ伸びるよ。」
その言葉が俺に投げかけられたと同時に目の前にいたイビルケンタウロスが細切れになり、そこには緑色の鎧に身を包んだ男が立っていた。
同時にその他4体のモンスターも4色の鎧を纏った者たちの手によって消滅するところであった。
茶色の鎧を纏った男が、その大きすぎる戦斧を軽々と取り扱い、イビルスケルトンを粉砕。
赤色の鎧を纏った男が、炎を纏った大剣でイビルアイを消し炭に。
青色の鎧を纏った男が、目にもとまらぬ槍撃でイビルプリーストを貫き、貫かれた五ビルプリーストは全身が氷りつき、そして砕け散った。
黒色の鎧を纏った男が、漆黒の長い刀で4本の腕を斬り落とし両足の腱を斬り跪かせところで首を斬り落とした。
「「「「「我ら
そうして王城と路地裏での戦いは幕を閉じたのであった。
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