第51話 路地裏の戦い

戦いの火ぶたを切ったのは、口が無数にあるプリーストの様な者であった。

エビルプリーストは他の4体にバフをしかけた様で腕が4本あるモンクの様な者は更に筋肉が隆起しており、足が4本あるケンタウロスのような者は素早さが増したのか、凄い勢いで走り始め、スケルトンの様な者は全身の骨が黒くなり硬度を増したようで腕からは剣の様な骨が更に伸びてきた。最後の目玉のやつは変化があるようには見えなかったが何かしら変化あったのだろう。


それぞれ、イビルプリースト、イビルモンク、イビルケンタウロス、イビルスケルトン、イビルアイと呼ぶとしよう。


そのバフがけが終わったと同時、イビルケンタウロスが凄まじい速度で接近してきた!

これを俺がなんとか対応するが、元が人間であったとは思えない膂力で吹っ飛ばされてしまう。


一方ではピピンとイビルスケルトンが剣戟を繰り広げている。その横からイビルモンクがピピンを殴り飛ばすが、間一髪ピピンの盾での回避が間に合い吹っ飛ばされる程度で済んだ。


「「こいつは強敵だ!姫様絶対に出てこないでくださいね!」」


俺たちは馬車の姫様に声をかけ、それぞれの敵との戦いへと戻った。


その一部始終をイビルアイの目を通して自室で見ている大臣は高らかに笑った!

「最初からこうしていれば良かったのだ!あの冒険者ども手も足も出てはおらぬではないか!これであれば、あの忌々しい小娘を亡き者に出来る!イビルプリーストよ!キサマも戦闘にでて馬車にいるあの小娘にトドメをさすんだ!!」


そう言うとイビルアイからその伝達が通ったのか、後方で支援魔法をかけ続けていたイビルプリーストが躍り出た!


イビルプリーストがその杖を武器にピピンに襲い掛かり、それとスイッチングするようにイビルスケルトンがピピンとの戦線から抜け、一気に馬車に駆け寄り、その手に持っている硬質な骨で出来た剣で馬車ごと斬り裂いた!!


『カキィイィィィン!』


次の瞬間イビルスケルトンの剣は馬車から躍り出たによって弾かれた!!


「フ、フランソワ!なぜ貴様が!!」


大臣が驚愕の声を上げたと同時に大臣の部屋を何者かが訪れた。


『コンコンッ』

「イルワ大臣殿おられますか?至急、玉座の間の王の元へいらしていただきたく!」

それは王の側仕えの侍従からの伝令であった。


フランソワが生きていたことに驚愕した大臣であったが、王からの呼び出しとなれば、従うほかなく玉座の間を訪れた。


「イルワ馳せ参じました!ダッカーノ王、火急の要件とは何事でしょうか?」


そこで顔を上げた大臣は更なる驚愕をするのであった!!


「なっ!姫様!どうしてここに!!」


「何をおっしゃているのかしらイルワ大臣?私がここにいることがおかしくて?」


「い、い、いや滅相も御座いません!ただ、洗礼式に出られて以降、こちらへご帰還なさったと召使や侍従から聞いておりませんでしたので、驚いただけです!」


「本当でしょうか?まるで私が裏通りにいるはずなのに何で!って思っているように感じますけれど如何かしら?」


大臣が狼狽えているとナン=ダッカーノ王が口を開いた。


「もうよい。イルワよ。儂はお主に失望したぞ。この国に蔓延っている諸悪の根源がお主だったとは。」

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