第49話 大臣の思惑
王城のとある一室にて
「クソォ!フランソワめしくじりおって!これではあの小娘が王になってしまう!なんとかしなければ!だが、テイマーもフランソワも死んでしまった!テイマーにしてみれば高い金を出して買った例の薬をもってしてもダメだった。クソォ!」
このマリアン王女暗殺計画の黒幕である大臣は狼狽えていた。
「こうなれば、またアヤツに薬を売ってもらうか?いやしかし、相当な強さを持っていないと使い物にならないと言っていたか。テイマーやフランソワ級の手練れはなかなかおらん。誰が適任なんだ。そうだ!王城で捕縛している罪人に無理矢理薬を飲ませて王女が帰還した際に大衆の前で殺してしまえばいい!そうなれば、馬鹿な王を裏から操り今まで通り私の天下だ!!」
大臣は不敵な笑みを浮かべ笑うのであった。
「それで、フランソワさんは何で姫様を暗殺しようとしたの?」
「それは、私の家族が法外な借金を押し付けられ、その借金を無くす代わりに大臣の手先になれと。手先にならないのであれば、私や私の家族を国に仇なす逆賊として仕立て上げ、私たちはおろか私の生まれ育った村や関係する侍従たちすべてを打ち首にすると言われたからです。私には断ることは出来なかった。それでも姫様を暗殺しろという命にはどうしても従いたくなかった。だから、冒険者ギルドに探りを入れ姫様を救ってくれる者を探した。手練れの冒険者であれば大臣に勘繰られてテイマーとの襲撃日を変えられてしまう恐れがあった。だが、新人冒険者でまだ名前も売れていなくて、あの老猿セネガーに認められた君たちであれば大臣はノーマークだと踏んだ。結果としてこうなった。だから本当に良かった。ピピン殿、レイ殿本当に有難う。」
そう言ってフランソワは頭を下げた。
「フランソワさんの事情はわかったし、大臣が裏で糸を引いていることも分かった。そして大臣はフランソワさんが死んだと思っているが、どうしてもマリアン王女を王にはしたくないと考えている。そうなってくると更なる襲撃が予想されるが、手持ちの戦力は多分、フランソワさんとあのテイマーが最高戦力であったはず。だとすると王都へマリアン王女が帰還したところで暗殺を狙ってくる可能性が高い。だから、それを逆手にとっていきましょう!フランソワさんには今回の騒動の責任をとして働いてもらいます。」
俺がそう言うとフランソワさんは神妙な面持ちで頷いた。
~道中~
「あと少しで王都ですわねピピン様!」
「そうだね、マリンアン王女様。」
「嫌ですわ、先刻の様に『マリー』と呼んでくださいまし!」
「いやいやあれはとっさだったから!マリアン王女様を『マリー』なんて呼べないですよ!」
「嫌ですわ!私はピピン様には『マリー』と呼んで欲しいんですの!!」
「困ったな~レイ~フランソワさん~助けて~」
ピピンが困った風に助けを求めてくるが俺たちは華麗にスルーした。
「ふふふ。あんなに楽しそうな姫様を見るのは久しぶりです。姫様には巨大なワームを一刀両断したピピン様が白馬に乗った王子様に見えたんでしょうね。そんな王子様に『マリー』なんて叫ばれてしまったら姫様はイチコロでしょうね。ふふふ。」
フランソワさんが楽しそうに言う。
「もうすぐ王都ですね。そろそろ準備しますかね。フランソワさんにはコレを使ってもらいます。」
「なっ!コレは!!」
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