第47話 裏切り

灰になり崩れゆくテイマーは最期に叫んだ。


「オレたぢの勝ヂダ!!」


勝ち誇った様に笑う視線のその先には、俺たちが護衛しているマリアン王女がいた。


そして、そこにはマリアン王女に飛びかかり、その剣で斬りかかろうとしているフランソワの姿が映った!!


「オデだちの勝ヂダ!オバエラが王女から意識をハズスのヲマッデいだ!ヤレ!ブランゾバ!!」


「マリアン様!お命頂戴!!せめて苦しまず逝ってください!!うわぁぁぁ!!!」

フランソワがそう言って剣をマリアン王女に振り下ろした!!


「マリーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」

ピピンの悲痛な叫びが響き渡った!


次の瞬間聞こえたのはフランソワの勝鬨ではなく、困惑した声であった。

「な・な・なにぃ!なんだコレは!!」


「それはね、軍隊蜘蛛スパイダーアーミーが獲物を獲るときに時に使うだよ。軍隊蜘蛛スパイダーアーミーって呼ばれる所以になったその糸は獲物がかかるまで糸を周りの景色に溶け込ませることが出来るんだ。それに絡まると生半可な力では抜け出せないし、刃ではなかなか斬ることはできないんだ。」

俺はフランソワの疑問にそう言って答えた。


「レイ!キサマ!こんな話は聞いていないぞ!事前の作戦の中にこんなことはなかったではないか!まさか!キサマは私が裏切ると知っておったのか!!」

フランソワがもがきながら叫ぶ!


「そ!そうなの!レイ!」

ピピンが驚いたように聞いてくる。


「ん~絶対に裏切るとは思ってなかったよ。でも、その可能性は薄々感じてたんだ。だってそうだろう?いくら急襲で大量のモンスターを相手に姫様や侍従たちを守りながら防衛戦をしなきゃいけないとはいえ、銀級以上で金級に近い力を持つフランソワさんがあんなのに遅れをとるわけがない。実際にフランソワさんは怪我をほとんど負ってなかったし、それに待ち伏せがあらかじめ分かっているような言動もあったし、道中もモンスターが襲ってこないのを知っていた感じがした。それに今だってお姫様を守りながら常に俺たちに隙ができないかずっと見てた。だから、裏切って欲しくなかったけど万が一に備えて商人のショウコーンさんのところで準備してた。」


そう言うと俺は商人のショウコーンさんから購入した2つ目のアイテムを取り出した。


『マジックアイテム 物々交換改~人式~』

このマジックアイテムは『空間転移』とか凄いものではなく、元々はズボラな人間が自宅などで自分の席から立ちあがらずに任意の物を自分の元へ運んでくるために開発したもので、対象の物と対になるものを『ラバートレント』というモンスターからとれる『ラバーラバー《強奪するゴム》』という強力なゴムの力で半強制的に入れ替えるという物である。

ただし、通常市販されているものは小さな物体しか入れ替えることが出来ないのだが、これは冒険者用に開発された新商品らしく使用者の魔力を消費することでゴムの伸縮力を強化し、人や暴れなければモンスターであっても入れ替えることが出来るアイテムである。


次の瞬間、ピピンの近くに立っていた俺とマリアン王女が凄まじい勢いで入れ替わった。

「フランソワさんごめん。チェックメイトだ。」

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