第46話 ワームマンサー

激高したテイマーは懐から芥子からしの液体を取り出し飲み干した!


するとテイマーの身体は変質し両腕がワームになり、口が大きく裂けその中からもワームが飛び出してきた。


本で読んだことがるんだが、砂漠地帯で死んだ冒険者の死肉を喰らったワームが進化してワームマンサーというモンスターになると聞いたことがある。

本に載っていた絵にもこんな感じの絵が描いてあった気がする。

でも、こいつはそのワームマンサーとは少し違うから亜種かなんかなんだろう。


「うぅ…オデダヂは失敗するわけにはイガナイんだ!ここでオバエラをゴロズ!オデダチの使命をバズレルナ!!」


意識が混濁している様な状態でテイマーは叫び苛烈な攻撃をピピンにおこなった!


両腕、口のワームはそれぞれ意識を持っている様で読めない動きでピピンを攻める。


ピピンもなんとかこれに応戦するが、あまりにも不規則かつ素早い動きに翻弄されジリ貧になっている。


このままではマズいと思い後方の守備をフランソワさんに代わってもらい俺もピピンとともにこのバケモノを迎え撃つことにした。


マリアン王女は少し心配だが今は仕方ない。


「ピピン大丈夫か?」


「大丈夫だレイ!だけど動きが変則的で決めきれない!それにこいつからあの時と同じ感じがする!」


ピピンが言ったあの時とは邪界虫デスマンティーとなってしまった辺境伯のことだろう。

確かに俺もテイマーから、あの時感じた嫌なプレッシャーを感じている。


「これは速攻でケリつけないとヤバいかもな!ピピン!俺に試してみたいことがあるから少し時間を稼いでくれないか?これが成功すればピピンの必殺技の時間が作れると思う!」


「わかった!でもそんな時間もたないぞ!頼むぞ!」


そういうとピピンは火魔法を飛ばし斬りかかっていった!


迎え撃つテイマーは変則的な動きをしながら腕や口のワームが伸縮し、ピピンとの距離をとりながら確実にピピンを追い詰めていった。


ピピンのピンチに焦りながらも俺は自分の体内にある変な魔力に集中していた。


これまではとっさのことだったから何も気が付かなった。

でも、『大食漢』というギフトをもらったからだろうか、そのぐらいの頃から俺の体内に時折、変な魔力が姿を見せることがあることに俺は気づいた。


その変な魔力に気づく時はいつも


俺の中で変な仮説が出来上がった。


だから、それを確信にかえよう!!


俺は体内にある変な魔力を練った。それこそ身体から魔力も体力もゴッソリ抜けてしまうくらい練って練って練った。


次の瞬間、口の中からナニかが出せそうな気がした。そしてピピンに合図を送りピピンがその場を退いた瞬間に俺は口から変な魔力を解き放った!!


『咆撃 怪音波』


爆音とともに怪音波がテイマーを襲う!


テイマーは爆音の砲撃の効果で身体を切り刻まれ、その怪音波によってワームが錯乱し自身の身体に巻き付き共喰いをはじめた!


俺の魔力が乗ったことで『爆音』による切り裂く効果が出ていたが、本質は、昨日倒したバットバットが使う怪音波であった!


俺の中の仮説はこうして確信に変わった!

俺は喰ったモンスターの能力が使える!!


「ピピンいまだ!!」


「待ってました!『魔法剣 光!サンライズ!!』うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


ピピンがそう叫ぶと、その刀身はまばゆい光に包まれ輝きだした!

それは先ほどタイタンワームを一刀両断にした時と同じであった。


光り輝く剣での両断はテイマーに回避の隙を与えず切り裂くのであった!


「ぐぁぁぁ!!」

絶叫をあげテイマーは地に倒れ伏した。


そして次の瞬間ピピンに斬られたところから灰に変わり崩れ落ちていった。


だが、灰になり崩れゆくテイマーは最期に叫んだ。


「オレたぢの勝ヂダ!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る