第43話 洗礼式と暗躍

マリアン第一王女一行を連れてトナーリ街に到着したレイとピピンは、ここでひとまず商人との護衛任務を終えるのであった。


「レイくんピピンくんここまでありがとう。君たちのお陰で無事にトナーリ街まで来ることが出来たよ。あのモンスターの大軍を蹴散らす君たちを見て将来君たちが大物になると確信したよ!だから困ったことがあったらいつでも相談に来なさい。それに君たちのお陰で貴族様との縁もできたのでね。本当に今回は君たちとご縁が持てて良かった良かった。」


そう言いながらショウコーン=タクマーシという商人は去っていった。


商人さんが去ってから、マリアン王女の従者の方たちを休ませるためにそこそこ値が張る宿屋であった。

そこでマリアン王女から衝撃の事実が告げられた。


「改めてお二方有難うございます。これで怪我をし疲弊した者たちを休ませることが出来ますわ。」


「それは全く構わないのですが、なぜマリアン王女様たちは狙われなければならなかったのでしょうか?」


「えぇそうですわね。ピピン様のおっしゃる通り、まずはそこからですわね。端的に言いますと、どうやら私、大臣に暗殺されそうになっておりますの!」


俺とピピンは驚愕した。

マリアン王女とフランソワさんの話をまとめるとこんな感じだった。


現在、中央国家ダッカーノ王国は国王である、ナン=ダッカーノ国王が国政を執り仕切っている。

しかし、国の行く先を考えた国王は自分が没してしまう前に後継者を選び、その者に国政のノウハウを叩きこもうと考えたとのこと。


だが、それはあくまでも表向きな理由であって本当の理由は別にあった。

それはナン=ダッカーノ国王が執り行っている施策の陰に隠れて、自身の私腹を肥やすため暗躍をしている臣下がいることが最近分かったのである。


それがエリーナ公爵から国王に渡った辺境伯の手記であった。

辺境伯の手記には、王国中枢にいるものからの指示で悪政を行い税を不当に徴取し、その方法を自身の配下の貴族であるコズ=ルイ男爵などにもやらせていたとの

内容であった。


これを炙り出すための後継者選びであった。


国王の筋書きはこうであった。

マリアン王女に王位を継承する。それにあたり王国内の人事も一掃するとのこと。

マリアン王女がやりやすい様に古い体制から新しい体制に変える。

そこで異を唱えるものやおかしな発言をする者から暗躍している者を炙り出す。

そういう筋書きであった。


そうして、その餌にまんまと食いついたのがイルワ大臣であった。

イルワ大臣は表向きには賛成しているように見えた。

しかし、その発言には些かおかしなところがあった。

『姫様を新しき王にするのは素晴らしい。ですが、王になるのであればを受けなければならない。洗礼が終わるまでは、もしので臣下や国民にはこのことは。』


そうしてイルワ大臣の提案に従って洗礼がおこなわれる王家ゆかりの洞窟に赴いたところ、洞窟がダンジョンにされており、このイレギュラーを報告すべく王都へ帰ろうとしたところ、先のテイマーによる暗殺未遂である。


これだけで、誰が暗躍しているのかがわかったとのことである。

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