第42話 マリアン=ダッカーノ王女

「改めまして旅のお方。ありがとうございます。私、ダッカーノ王国のナン=ダッカーノ国王の娘。第一王女マリアン=ダッカーノで御座います。本当にこの度は有難うございました。厚かましいお願いで恐縮なのですが、私の従者たちの治療を手伝ってもらうことは出来ますでしょうか?」


「姫!いけません!感謝はすれど、この者たちの素性もわからぬのに簡単に貴方様の素性を明かしてはなりません!」


「フランソワ!この方たちは事情も知らぬのに私たちを助けてくださったのですよ!このご恩に不義を働けばそれこそダッカーノ王家の名折れですわ!」


「はっ!大変失礼いたしました!お二方誠に有難うございます!」


「「いえいえ!それよりも怪我をされている従者の方の治療を優先しましょう!」」


そう言って従者の方たちの治療を始めた。

不幸中の幸いとはこのことで、今回モンスターの急襲を受けたマリアン王女の一行であったが、重傷者は多くいたが、死者は幸い0であった。


「ピピン様、レイ様。この度は本当に有難うございました。お陰様で誰も亡くなりませんでしたわ。本当に良かったですわ!そして、さらに厚かましいお願いで恐縮なのですが、負傷者が多すぎますので、道中でまた襲われてしまうと今度こそ次がないと思いますの。しかしお二方が同行してくだされば、あのテイマーも迂闊には襲ってこれないと思いますの!なので、ダッカーノ王城まで同行してくださいませんか?もちろん今しがたのことも含めて御礼はさせていただきますので!!」

マリアン王女から緊急クエストがお願いされた。


「同行させていただきたい気持ちはあるのですが、我々は今、丘の上に待たせている商人の護衛任務でトナーリ街までいくところなのです。このまま貴方様を王城までお送りしてしまうと商人がモンスターに襲われてしまう可能性もありますので、トナーリ街を経由し、商人を送り届けてからでよろしければダッカーノ王城までお送りすることは可能です。」

ピピンがその様にこたえた。


「そうでしたのね!幸いダッカーノ王城はトナーリ街を経由した先になりますし、なによりトナーリ街で負傷者をしっかりと休ませてあげたいので、商人様の護衛任務を優先してくださってかまいません。ですのでお願いできますでしょうか?」


「「それでよろしければ僕らは大丈夫です」」


「レイ殿!ピピン殿!大変申し訳ないのだが、姫様のことは商人の方に内密にしてもらえないだろうか?」

フランソワさんからのそんな申し出に関しては、何か事情があってこんなところにいるのだから、是非もなく了解した。


そうして丘の上の商人さんを迎えに行き事情を伝えトナーリ街を目指すのであった。

※商人さんには貴族の方が襲われていたので護衛をすると伝えた。商人さんは商魂逞しく、「貴族の方に恩を売れるのであれば、この先の大きな利になるので問題ない」とのことで逆に張り切り、商人さんが販売用に持参していたものも含めて盛大にマリアン王女たちをもてなすのであった。

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