第37話 新人潰しのザブー
「グヘヘヘ威勢のいい新人に特別に俺のギフトを教えてやろう。俺のギフトは『重戦士』だ!!」
唾をまき散らしながら誇らしげに語るザブーにギャラリーは反応する。
「「「また、自慢してやがるザブーのヤツ。いくら『重戦士』がレアなギフトだからって」」」
「グヘヘヘ!俺の『重戦士』は攻守に優れたギフトだ!昨日今日ギフトを得たクソガキなんざには負けるわけがねぇんだ!だからお前なんぞはひき肉にしてやる!いくぞ!!」
そう言った直後ザブーはその巨体に似合わぬスピードでレイに肉薄し、そのスピードに呆気を取られているレイに渾身の一撃を見舞った!!
「叩き潰せ!ギガントハンマー!!!」
ドカン!!とザブーのスキルによって訓練場に轟音が鳴り響いた。そして誰もが悲惨な状態を想像し勝負ありと思った中、ピピン1人だけが笑っていた。
「おじさんドコ見てるの?」
そのピピンの一言にザブーは戦慄した。
叩き潰したと思っていたレイがいないのである!
「それは幻だ」
ザブーの背後からその声が聞こえ振り返った瞬間ザブーは気絶した。
誰もが予想しなかった、この場でピピンだけがわかっていた呆気ない終わりであった。
実際に何が起こったのかというと、レイはザブーが肉薄していた際に『闇魔法 幻影』を使用しその場に自分の幻を作り出していた。
そして、ザブーが棍棒を振り上げる時にはすでにザブーの検知できない速さでザブーの後ろに回り込んでいた。
そして、振り向いた瞬間、魔力を腕に集中させた状態でボディブローを放ち1撃で失神させていたのであった。
この間わずか2秒の出来事である。
一瞬の幕切れにギャラリーが沸き立つが、レイはそんなことには目もくれず『水魔法 水玉』を使用しザブーの顔面に水をかけ失神しているザブーを起こすのであった。
そして目覚めたザブーに対し「おいハゲ!わかったか?テメェの負けだ!受付の女の子に暴言吐いたこと謝れ!」と言った。
ザブーはこの一瞬でレイとの力量の差を感じ素直に受付嬢のメイに謝罪しこの騒動は終息をむかえるのであった。
「ほっほっほっほ!いや~あっぱれじゃ新人冒険者君よ!」
レイとピピンの後ろからそんな声が聞こえたので振り返るとそこには老人が立っていた。
「ほっほっほっほ!ワシはギルマスのセネガーじゃ。うちのバカが迷惑かけたの~。最近調子に乗っておるからよく言って聞かせようかと思っとったのじゃがワシが出るまでもなかったの~腰痛が酷いんで助かったわい!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます