第35話 冒険者ギルド



会食の最後にエリーナ公爵から「ダッカーノ王へ『勇士』となった報告へ行くこと。それと冒険者ギルドで冒険者登録をして困っている人たちを1人でも多く救ってやって欲しい。」と言われた。


それを受け、エリーナ公爵との会食が終わって翌日、エリーナ公爵領最大の都市であるアルテテの街の冒険者ギルドにやってきた。


俺たちはドキドキしていた。だって幼いころから憧れていた冒険者ギルドが目の前にある。

この中央国家ダッカーノ王国では子供の命を守るためとして、冒険者登録が行える年齢を神託ギフトが授けられる15歳からとしている。

なので、弱いモンスター相手だったら無傷で無双できるレベルである俺たちも冒険者にはなれないでいた。


ギルドに入るとすぐに、まるで『また右も左もわからない新人が入ってきた。これは指導が必要だな』と言いたげなニヤニヤとした視線が突き刺さった。


だが、そんなことはどうでもいいと受付に行き冒険者登録をお願いした。



猫獣人の受付嬢メイは焦っていた!

それは何故かというとギルドで登録をするときには、『登録水晶』というマジックアイテムを使用し、個人情報を吸い出し(様々な事情があるので情報の隠ぺいは可能だし、名前も偽名にすることは可能である。)登録をするのだが、その情報に驚愕している。


確かに風の噂では聞いていたが、まさか本当に実在していたとは!

言ってはならないが、思わず呟いてしまった。

「本当に『勇士』様にゃ」


その言葉を聞いたギルドにいた下卑た視線を送っていた面々は酒を噴出した!


続けてメイは呟いてしまった。

「こっちは『大食漢』にゃ」

今度はピピンの時とは違う意味で酒が噴出された!

「「「おいおい本当に『勇士』と『大食漢』なんてもんが存在するのかよ!『大食漢』って俺は死んだってそんなハズレギフト授かりたくないぜwww」」」


その言葉にピピンが怒り反応したが、諫めた。だってもうこの反応慣れたもん。


ガックしくるが仕方ない。


そんな風に思っていると併設された酒場の奥から1人の男が立ち上がった。


「おい新人!『勇士』に『大食漢』だと?本当にスゲーのか、このザブー様が裏手の訓練場で新人研修してやるよ!」

まわりの酔っ払いがザワザワしている。


その中の1人が呟いた。

『新人潰しのザブー』それが彼の異名らしい。

また、冒険者ランクは銀級に近い銅級とのことで、このギルドの上級メンバーを抜いたら、かなり強い部類の人らしい。


どうやら『新人研修』というなの戦闘は避けられないようである。

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