第33話 大食漢

勇士誕生の報に周辺がうち震えること30分。


いやいや30分って長くない?

新手の放置プレイかと思って半泣きになったよ俺。


神官がようやく正気に戻ってくれて良かった。


でも、神官も周りの人たちもピピン以上のものが出るわけないと皆さん一律に冷めてらっしゃる。


これにも泣きそう。


ピピンが小声で「なんかゴメン」って謝ってくれたけど、余計に悲しくなる。。。ぐすん


俺も神官もそれこそ、「「ええい!ままよっ!」」と勢いでいきましたよ。


するとどうでしょう‼️


ピピンの時と比べることもできないくらい、眩く目など開けれず外に漏れ出すくらい光が溢れた‼️


教会にいた総ての人がピピン以上の期待を胸に『おぉ‼️』っと叫んだのであった‼️


光がおさまり、周りの人たちはピピンを含めてざわめいていた。


それこそ「あの光じゃ勇者様か賢者なんじゃ!大魔導かもしれん‼️なんにせよスゴい職業に違いない」と沸き立っていたが、俺は嫌な予感がしたんだ。


いや、直感かな…


だってピピンの時に歓喜にうち震え泣いていた神官が、スゴく気まずそうな顔をしているんだもの…


神官が消え入りそうな声で「たぃ…ですぅ」と言ったので「はい?」と聞き返すと、半ばやけっぱちの逆ギレ仕様で神官は吐き出すように言った。


「だから、大食漢ですって‼️」


その発言が教会中に鳴り響いた瞬間にザワついていた人々もサーッと音がするように引き無が訪れた。


「え?大食漢?それが職業?何ですかそれ?」


無から音が返ってくるとザワザワと話し声がする。

その中で聞き取れたことは「かわいそう」とか「悲惨」「まだ農民の方がマシぢゃ」っという感じだった。


神官が申し訳なさそうに職業の説明をしてくれた。

曰く「お腹いっぱいの時は普段より力を扱えて強い」と言ってくれた。


しかし、次の言葉がビミョーな反応の答えだった。

「戦闘中にお腹いっぱい食べてる余裕はない。しかも、仮にお腹いっぱいにしても戦闘1回で空腹に戻ってしまう。ダンジョンなんかでは全く役に立たないし、何より米を腹一杯食べてもゴブリン1匹が2匹倒せる程度」


何ともビミョーな気持ちになったし周りからの同情の目がツラかった。


ただレア職業はレア職業で勇士よりも目にする機会はない職業とのこと。


そんなこんなで、この教会で俺は可哀想な意味で伝説となったのだった…

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