第3章 中央国家ダッカーノ王国編

第31話 旅立ち

あれから1年が経った。


あの時俺たちは瀕死の状態であったが、村人に保護され看病を受けているところに、エリーナ公爵が異変を察知して追加で送ってくれた後発部隊が間一髪のところで到着し一命を取り留めた。


一命は取り留めたが、イーサ、ジャス、ルーの四肢の欠損や失明は治らなかった。


だが、それに関してもエリーナ公爵がダッカーノ国王に手を回してもらい、中央国家の中にある教会の聖女様を派遣してもらい全て元通りに治癒してもらえた。


だが、見た目は戻ったが、厄介なものが残った。


それはデスマンティーのであった。


3人はデスマンティーの呪いを大量に浴びてしまっていたため、見た目は完治しているのだが、魔力を込めようとすると呪いが発動してしまい、本来のパフォーマンスを十全に発揮できない身体になっていた。


この呪いは中央国家の聖女様では解けない呪いだという。


中央の聖女様曰く、『中央の聖女の祈りは治癒を、北の聖女の祈りは病を、西の聖女の祈りは魔力を、東の聖女の祈りは奇跡を、南の聖女は解呪を』


そう中央の聖女様は教えてくれた。


カーラちゃんが言っていた通り、どうやら俺は南の国へ行かなければならないようだ。


この世界に転生して14年がもうすぐ経とうとしている。


国の法律で国家間の移動が自由に出来る冒険者になれるのは15歳になりギフトを得た者だけだ。


だから俺は改めて師匠に冒険者になることを伝えようと思って、今ここを訪ねようとしている。


その場所は俺の乳母のシンシアの家だ!!


コンコン!

ガチャ!

「あらレイ!いらっしゃい!何をそんなに畏まって!ここはあなたの家って言ってもいいくらいのところなんだから、そんな他人行儀にならずにいらっしゃい!」


14年前死ぬほどお世話になった巨大な霊峰は顕在だ!!

俺はもう胸オッパイだ!!シンシアかあさん相変わらず凄すぎる!!


そんな乳母に発情するわけにもいかないので、気持ちを切り替える。

「かあさん久しぶり!今日は師匠に、いや父さんに話があってきたんだ。」

「そうなのね。お父さんは奥で休んでるから、あなたの顔見せてあげて。喜ぶわ。」


そう言ってシンシアは別の部屋に入っていった。


「師匠!いや父さん!話があってきました!俺冒険者になります!この街を出ます!」


「唐突になんだお前は。でも、まぁそんな日が来ることはわかっていたよ。それにお前は冒険者になって世界を見て回れ!そして、悪しきを挫き弱きを助ける者となれ!お前にはそれをやれる力がある!そして、あの時のアイツの計画を止めなきゃいけない。そんな使命がお前にある。そんな気がしていたんだ。だからお前は行ってこい!そして必ず帰ってこい!俺はここで待っててやる。だから行ってこい!」


俺は転生してからの約15年、目の前にいる義賊であり師匠でもあるこの父から多くを学んだ。


それこそ、前世の俺なんかじゃ絶対にやらなかったこともやった。


それは全て父の姿に憧れたからだ。


だからこそ、離れるのは寂しかったが、認められたことが嬉しかった。


だから、涙声だったかもしれないが、力強く「はい!」と返事をした。


「そしたらお前は15になったら教会へ行き神託ギフトを受けてこい!公爵様にはその旨伝えておく。」


そうして俺は新たな冒険の旅に出ることが決まった!



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ちなみにイーサがなぜシンシアの家にいるかと言うと、呪いでうまく体が動かなくなったイーサを心配してシンシアがこの一年献身的に面倒を看ていた。

そして2人は自然に必然に結ばれたのであった。

それこそ2人はイーサが赤ん坊の俺を抱えてシンシアの家に訪ねた時から、お互い気になっていたらしい。


そして、この時シンシアのお腹の中には3つの生命が宿っていた。

イーサとシンシアの子供たち。

後に長男ホルス、長女ミノ、次男ジャージと名付けられる三つ子は、『進撃の猛牛』という冒険者パーティとして世界に広くその名を馳せるのだが、それはまた別のお話。

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