第22話 激戦マンバドラゴン
マンバ山脈の頂上は平らな雪原になっている。
それは頂上がマンバドラゴンの巣であるから。
そして、マンバドラゴンは一匹しかいない。
なぜかというと、このマンバ山脈も迷惑の森と同様に自然と一体化したダンジョンだからである。
だから、一年中雪が降っているし、マンバドラゴンの変な習性も説明がつく。
マンバドラゴンはこのマンバ山脈というダンジョンのガーディアンモンスターだ。
そして、そいつは今目の前にいる。
小型の竜種ということだが、体長は縦も横も3メートくらいある。
「「空飛ぶ壁だこれ。」」
2人の感想である。
1メート級のモンスターなんてザラにいるし、マンバボアなんてデカいのは2メートくらいあった。それこそスモークラウドなんて同じ3メートくらいはあった。
でもだ。コイツは翼があり、広げた横幅も3メートはありそうで、なんつーか本当に壁だ。
しかも、これまで体感したことないくらい、威圧を感じる。魔力が濃い。
本当にコイツは強い!!
そう思った矢先に翼を広げ中空を漂うマンバドラゴンより、アイスランスが雨あられの様に飛んできて飛びのいた!
「おいおいレイ!コレヤバいんじゃない!」
「ヤバいじゃすまないかもなピピン。なんかスモークラウドよりも圧が強いってか、魔力もすごいし、なんか景色歪んで見えない?竜種ってこんな凄いの?」
「やるしかないよね。最悪ここなら逃げられるしね」
「あぁそうだなピピン!死にそうになったら必死に洞穴まで逃げよう!ヤツは雪原より下には追ってこない!」
そういうと2人は左右にわかれマンバドラゴンに挑むのであった。
先行は素早さを活かしたレイがマンバドラゴンにかけより、地に落とすべく闇魔法を放った!
「シャドウチェイン!」
影で編まれた鎖がマンバドラゴンの足に絡まり地に落とそうとしたところ、圧倒的な力でいとも簡単に引きちぎられた!
お返しとばかりに爪撃を放ってくるもレイはよけ、その際にマンバドラゴンの腕に短剣で傷をつける。
だが、それも掠り傷程度であった。
しかし、マンバドラゴンの意識がレイに向いていたお陰で反対側からその隙をついたピピンの一撃がマンバドラゴンの脇腹に入りある程度のダメージを与えた。
そこで調子に乗ってしまった2人に『調子に乗るな』と言わんばかりの咆哮とともにマンバドラゴン必殺の『アイスブレス』が繰り出された。
2人には距離があったにも関わらず、その広範囲のブレスは2人を飲み込み大ダメージを与えた。
それこそ、この一撃で2人はボロボロだった。
しかし、これ以降も2人同じ戦法にて徐々に徐々にマンバドラゴンにダメージを蓄積していった。
そして、再度マンバドラゴンが『アイスブレス』を放つべく中空に飛び上がった時にレイは行動に移った!
レイが使用したのは『フンドシ煙』であった。
あの迷惑の森で倒し、その後のレイの義賊での活動を支えてくれている『フンドシ煙』である。
『フンドシ煙』がマンバドラゴンの足に絡みつき、次の瞬間、スモークラウドのぶちかましといわんばかりに、地面にマンバドラゴンを叩きつけた!!
ズドーン!という音とともに地面に叩きつけられた瞬間にレイは自身が使える闇魔法との複合技である『パラライズ』を使用した。
『パラライズ』とは自身の刃に影を覆わせ傷口などから、それを刺し入れる複合技で、これが決まると相手は硬直する。
それは、雪などの闇魔法を行使するのに相性の悪い環境でも関係ない。
よって、今回このパラライズは見事に決まった!
その瞬間に剣を大上段に構えたまま飛び上がっていたピピンは叫んだ!
「弐ノ太刀 火炎の滝壺」
炎を纏った剣が大上段から振り下ろされ、竜の鱗を燃やしながら肉を切り裂き、
そして、マンバドラゴンの翼を切り落とした!
痛みに激怒したマンバドラゴンは暴走しパラライズを無理矢理解き、その爪撃をピピンに見舞うが、ピピンはこれを盾で防ぐが弾き飛ばされた。
そこに追い打ちをかけるように『アイスブレス』を放ってきた!
尚もピピンは盾で防ぐが、徐々に盾はそのブレスの力に負け凍り付き瓦解してきていた。
もう数瞬ももたない。ピピンが思った時、ブレスがやんだ。
その理由は、『フンドシ煙』を腕に巻きつけたレイがマンバドラゴンの下からブレスを放つ顎にめがけてアッパーを喰らわせていたからであった!
「おらぁぁ!フンドシアッパー!!!フンドシフック!フンドシボディ!!」
怒涛のフンドシラッシュであった。
レイは常日頃『フンドシ煙』を義賊の活動で使っていたので、ただ使うのではなく、『纏う』という使い方を編み出していた!
通常『フンドシ煙』というものは使用すると、任意の場所に伸び絡みつき、ぶちかましに似たダメージを与えるといったものであった。
これに対しレイが編み出した「纏い」とは伸びたり絡まったりする範囲が極小になる代わりに、ぶちかましに似た威力の攻撃を何度も連続でしようすることができるものであった。
ただし、長時間使用すとレイ自身も疲労とダメージを負う諸刃の剣であった。
今のレイには後2発が限界であった。
レイはマンバドラゴンの懐に潜り込み、フンドシアッパーを繰り出しマンバドラゴンの顎をカチあげた!!
そして、レイは叫んだ!
「ピピン!いくぞ!!」
そう言うと、分かっていたかのようにピピンが後方から勢いをつけ剣に炎を纏わせ刺突の構えで突っ込んできた!
それにあわせるようにレイも渾身のフンドシストレートを同時放った!
「「合体技!火竜の炎撃」」
それは火竜が放つ高密に圧縮された炎のブレスのようであった。
そして、炎が弱点であるマンバドラゴンの胸を丸く貫いた!!
マンバドラゴンは何が起きたかも分からずに地に伏すのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます