第17話 義賊デビュー!!

「レイ!今夜お前にはコズ=ルイ男爵の家に侵入し、コズ=ルイが自身の領地から不当に徴収した領民たちの血税を奪い返してもらおうと思う!」

イーサはそう高らかに宣言をした。


つまり、遂に俺も義賊デビューだ!!


「今回の侵入にあたり、お前が使用する仕事道具アイテムはコレだ!」

そう言って取り出された仕事道具アイテムは先日、ピピンとともに命懸けで採取した『』と『』であった。


「本当は『不惑の煙』でもよかったんだが、せっかくお前たちが死に物狂いで得たもんだ、しっかり使え!」

そう言ってイーサが渡してきた。


これをもらい受け、俺は深夜、コズ=ルイ男爵の屋敷の屋上にいた。


今回は義賊のお仕事。一般市民であるピピンには悪事の片棒を担がせる訳にはいかないのでピピンはお休みである。これに関しては俺と師匠は同じ考えだった。

つまり、本当に一人でのデビュー戦である。


~コズ=ルイ男爵邸~

俺の頭の中には『テ!テ!テ!テン!テテテテン…』って、感じで、前世で観た某スパイ映画の音楽が軽快に鳴り響いていた。


屋根裏のはりの出っ張りに幻惑の糸をくくりつけ、もう片方を俺の腰にくくりつけ、俺は某トップスパイの様に屋根裏から蜘蛛のように降下し侵入したのであった。


屋敷には警備兵が5人程いるが、内2人は門を残りの3人が今回のミッションの目標である金をしまっている部屋にいる。


上から気付かれぬように降下し、誰にも悟られぬよう金がギッシリ詰まっている袋を持ち上げたところ、トラップ魔法がかかったいた様で、警報音が鳴り響きあっという間に3名の警備兵が入ってきた!


「やべー!これ絶体絶命じゃね?」


「貴様!コズ=ルイ男爵様の金を盗もうなどとけしからん!叩き斬ってやる!」

そう1人の警備兵が発すると、もう1人も連なり攻撃をしてきた。


幻惑の糸を登ることで何とか初擊を回避したところで、3人目の警備兵がアイスアローを連射してきた!

「アイスアロー!」


どうやら、この警備兵がトラップ魔法をかけた魔法使いのようだ。


「非常にまずい!どうしよう!コレ絶体絶命!!大ピンチ!!!ぢゃね?」と考えながら、自分の荷物をまさぐっていたところ、起死回生を知らせる1つの感触が!


「コレだ!」と思ったと同時に手に掴んだそれを投げた!


「フンドシ煙!」俺の手から飛び出したフンドシ煙は大きく広がり、警備兵が放ったアイスアローを全て防ぎ止めるだけでなく、そのまま3人の警備兵に巻きついた。


流石さすがはスモークラウドのレアドロップというべきか、フンドシ煙に捕縛された3人の警備兵は身動きすらとれず、それどころか煙の圧力で一瞬にして気絶させられたのであった!


それはさながら、スモークラウドの突っ張りからのブチかましの様であった。


「スゲーなこの煙!流石は死にかけて得ただけはあるな!よし残りの2人が来る前に逃げよう!」


そう言うが早く、フンドシ煙を回収し奪取した金袋を担ぎ、幻惑の糸を強く引き、その反動で一気に屋根裏へ登り屋敷から脱出し、闇に紛れてレイは身を眩ますのであった。


「ミッションコンプリート!」そんな声が森に木霊したのは森の動物たちしか知らないのは別のお話。

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