第6話 ネトネト野郎
イーサ「よ~し!そんじゃお前らには商売道具の調達を任せるとしよう!」
そんな一声からノドカ街の東に広がる『迷惑の森』に俺とピピンはいた。
「ねぇレイこれヤバくない?」
「・・・あぁヤバいなピピン」
現在、俺とピピンはマッドスパイダーの群れに囲まれていた!
マッドスパイダーとは迷惑の森の端に出てくるデカいクモのモンスターだ。
モンスターっていうくらいだから、やはり普通のクモと違ってデカい!
せいぜい数セメチが一般のクモだが、なにぶんモンスターだ。いくら下級とはいえ1メートはある。重さも3~40キブはある。
なんなら上位種はもっとデカいらしい。
だが、このマッドスパイダーは縄張り意識が強く通常は1匹づつしか出てこない。
しかしだ!しかしだ!!この世には常にイレギュラーというものがある。
つまりこれは明らかにイレギュラーだ。だって6匹もいるんだもんっ!!!
迷惑の森の端に生息するくらいだから、1匹1匹は正直ザコの部類なんだけど、6匹集まると、町人ごときでは退治できない。犠牲が出てもいいなら町人が大勢でかかればなんとかなるだろう。被害なく終わらせたいのなら、それこそ低級でもいいのでの冒険者が必要だ。
やっかいなのは『ネトネト糸』だ。
通常のクモは糸で巣をつくり、獲物をひっかけ狩りを行うが、こいつらは違う。
普段は物陰からネトネト糸を噴射しネトネトで動きが鈍ったところを襲ってくる戦法だ。
が、このイレギュラー共は堂々と俺たちの前に出てきた。但し俺たちを囲んだ状態で。。。
「なあピピンどうやら俺らはネトネト野郎たちのお食事を邪魔しちまったみてぇだ」
俺はそういって右前に視線をやる。するとそこには大量のネトネト糸を浴びて溺れ死んだゴブリンがいた。
「あぁ~ゴブリンを食べてるところに俺ら近づいちゃったのね」
そうマッドスパイダーは食事を邪魔され怒り出てきたら、さらにご馳走が目の前にいたもんだから、取り囲み襲おうとしてきているのだった。
「よし!泣き言いっててもはじまらねぇ!ピピンいくぞ!」
そう言ってレイは音もなく走り出した。レイは義賊の教え無音走りを使い正面にいた1匹に音も無く肉薄し、逆手に持った短剣を十字に走らせた。
短剣二刀流十字斬り!!」そうレイは短剣二刀流の使い手であったのだ。
敵の虚をついたその一撃はマッドスパイダーの顔を十字に切り裂き絶命させた。
満足していると横合いの2匹からネトネト糸が噴射された!
ヤバい!よけられねぇっと思ったその時レイの背後から躍り出たピピンが盾を用いてネトネト糸を防御すると同時に鉄の剣で横薙ぎに一閃二閃した!
たちどころに2匹のマッドスパイダーの前足がなくなり、バランスが保てなくなったマッドスパイダーは顔から地面にキスをした。
すかさずレイは2匹の頭にとどめの一撃を見舞った。
「レイ!油断しすぎだぞ!これ貸しだからな。」
「わぁ~ってるよ。ゴメンって!油断しすぎた!ちゃんやるって!でもなんとかいけそうだな!」
そういうと、残りの3匹もピピンとの連携を用いて葬ったのであった。
ちなみにこの後、陰から様子を見ていた師匠に修行と称してメチャメチャボコられたのはまた別のお話。
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