仲間じゃないの!?
コルバーニさんの言葉に私は呆然とした。
そんな……
「それって、みんな『仲間と思ってない』って事なの? そんな事ないよね?」
コルバーニさんは私をまっすぐ見ると淡々と言った。
「リムちゃん、ちっと違うかな。そろそろ知ってもらってもいいかもね……私たちはお互い仲間と思っているよ。信頼もしている。ただね、それはお互いの能力を。戦場における人格を信頼しているって事。リムちゃん、傭兵って知ってる?」
「う、うん……知ってるよ。お金で雇われて、仲間に……」
「私たちはイメージとしてはそういう感じ。で、私たちの報酬って、恥ずかしい言い方かもだけど『リムちゃん』なんだよね。私はクローディアを見つけたい。そしてリムちゃんの目的達成に協力したい。お父さんは父として同行する。なので、私とお父さんは1単位。アンナは言わずもがなで、リムちゃんの下でのみ行動する。さっきの言葉もそうだけど基準もリムちゃん。クロノのおっさんはリムちゃんを守るために行動している。石に関する秘密を解きつつね。リーゼはライムとリムちゃん半々かな」
コルバーニさんはさっきよりは優しくなった口調で続けた。
「つまり私たちみんな、リムちゃんありきなんだよ。元々、私たちは個々で確立されていた。お互い本来は必要としてなかった。リムちゃんと言う磁石にくっつく鉄みたいなものかな」
そうなんだ……そうだよね。
みんなとっても強いし、勇気もある。
そんな凄い人たちが私なんかを……嬉しいけど、なんだろ……この変な気持ち。
「そんな顔しないの。大人の仕事ってそういうものよ。逆にリム・ヤマモトさえ、リーダーとしてちゃんとしてたら、私たちは全員1単位になるって事なの」
「はい……でも、私は……やっぱりみんなで、手を取り合って……」
「それは個人でコントロールすることじゃないわ。結果としてそうなるもの。これこそあなたの言ってる『信じる』って事」
リーゼさんの言葉に私は頷くしかできなかった。
私が子供過ぎるのかな……
その時、脳内にラームの声が響いた。
「あーあ、コルバーニはん言うてもうたな。わざわざ言わんでもええのに。あの子、過去のトラウマ全然治っとらんわ」
「それって……ライムと仲たがいしちゃったやつ?」
「いいや。ライムはんとユーリはんで旅しとった時やね。一時的にメンバーが増量したときがあってな……」
ラームの言葉の途中で、私たちの前にスキンヘッドさんがやってきた。
「じゃあ、俺たちは今からギルドへ話を聞きに言ってきます、ボス」
そう言って、何故か私を見て言った。
へ? ボスって……だれ?
そんな私の視線に気付いたのか、スキンヘッドさんはニコニコと言った。
「リムさん、これからはあなたをボスと言わせてください。あなたの全てに惚れました。戦いの才能など欠片もないと見せかけてからの、蝶のような軽やかな動き。俺はあの戦いのさなか、確かに見ました。あなたの身にまとう金色の輝きを! まさに気高き女神!」
そう言って今にもひざまずきかねない勢いで、私に頭を下げていた。
「い……いやいや! そういうの止めて下さい!」
「これからはボスのため尽くします! なので、早速情報を集めてくるので! これからはアレクと呼んでやってください。呼びにくかったら『犬』でも結構ですので」
「い、いやいやいや! 犬ってなに!?」
私の言葉など耳にも入っていない様子でアレクさんは走っていった。
ああ……なぜか罪悪感……
そんな事を思っていると、コルバーニさんが私に向かって歩いてきた。
その顔は赤くなって、仄かに涙ぐんでいる。
「リムちゃん、遅れちゃったけどホントに勝ってよかった。……頑張ったね」
そう言うと突然私を強く抱きしめた。
「え!? ちょ……」
驚いて離れようとしたけど、そうする気にならなくてそのまま立っていた。
「うん……有難う」
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