カンドレバの街
カンドレバの街に入った私は、目を白黒させた。
何というか……カラフル。
アチコチの建物が緑や
でも……不思議と、目に優しい。
「リム様、驚かれましたか?ご不快になっておりませんか?」
心配そうに声をかけてくれたブライエさんを見ながら、ブンブンと首を振る。
「ううん。最初はビックリしたけど、何というか……色とりどりだけど、規則性みたいなのがあって、不思議だけど歩いてて気持ちいい」
「素晴らしい観察眼。さすがリム様ですね。この街がこのような色とりどりになったのは、この街の気候に関係するのです」
「気候?」
「はい。この街のある場所は深い霧に覆われる事が多い。そのため、ある日猟に出た出た夫が無事に戻れるように、と言う願いを込めて男の妻が家をカラフルに塗った事が始まりと言われています。ただ、そんな中でも美を発揮したいと考えた市長によって、この街の建築物の形や大きさには厳格な決まりがあるのです。それによって、これだけカラフルでありながら統一性がある、と言う希有な街となりました。そのせいか、この街は大変芸術が盛んです」
「へえ……」
そんな事が……って言うか、ブライエさんこんなにしゃべる人だったんだ。
「後、この街は温泉もございます。疲労回復によろしいと」
「あ、はい……そうですね」
何だろう、この不思議な緊張感は。
「そのような敬語はおやめ下さい。私の事は下僕と思って頂ければ」
「リム、ヤバいよ~あれだとお風呂まで着いてきかねない」
ニヤニヤしながら、意識の中に話してくるライムを払いのけた。
「ギルドに報告する前に、まずは宿に戻ろう。リムちゃんもライムも疲れてるだろう」
オリビエの配慮で、私たちはミントグリーンの建物に入った。
「俺はちょっと用事があるから少し留守にするよ。それまで2人はゆっくりしててくれ。何か用があるときはブライエに言えばいいから」
そう言うとオリビエは出て行った。
部屋の中は外壁と同じ色だがより薄くなっていて、目に優しい。
なるほど~ちゃんと考えられてるんだな。
「って言うかさ、オリビエの事情って奴気になるよね」
「あ、ライムもそう思う? 追っ手に追われてるなんてただの人じゃあり得ないよね」
「じゃあ確認しよっか。思い立ったが吉日」
そう言ってライムが肩から飛び上がったとき、丁度ドアをノックする音が聞こえたので返事すると、ドアが開きブライエさんが顔を覗かせた。
「リム様、大丈夫ですか。体調を崩されてはいませんでしょうか」
「はい……じゃない、ううん、大丈夫。ブライエさんは傷とか痛まない?」
「有り難うございます。私はすっかり元通りです。いつでもお守りできます」
「良かった……でも、無理しないでね。で、あの……ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「はい? 何でしょう」
「オリビエの追っ手の事なんだけど……あの人たちって一体誰なの?」
私の言葉にブライエさんは表情を曇らせた。
言おうかどうしようか迷っている感じだ。
「あ、あの! 無理に言わなくていいよ。無理矢理詮索する気はないから」
「いえ、逆です。私はリム様には知ってて頂きたいのです。勝手ですいませんが……あなたなら、オリビエの苦しみも救って頂けるかも知れないと……」
オリビエの苦しみ?
「救えるかは分からない。でも……良かったら教えて」
ブライエはホッとしたように微笑むと、軽く息をついて言った。
「あの3人。オリビエを狙っていた連中は、オリビエの実の兄。この国の第2王子の指示によるものなのです」
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