第239話天使侵攻8

ゆっくりと接近してきた蝸牛は、

突然、触手のようなもので、攻撃を仕掛けてきたが

アルメディアは、その攻撃をあっさりとかわした。


だが、その代わりに、アルメディアと戦っていた兵士が犠牲となる。


「ぐわぁぁぁぁぁ、、、あ、あつい・・・」


兵士は、一瞬にして、ドロドロに溶けた。


「げっ!」


らしくないような声をあげたアルメディアは、

いったん、距離をとる。


──あれだけには、触れたくないわ・・・・・


そう思っていると、突然、蝸牛の皮膚の部分に

炎を纏った鞭がヒットする。


「えっ!?」


驚くアルメディアの前に、姿を見せたのは

クアトラだった。


「殻は、硬いかもしれないけど

 その他は、そうでもないみたいね」


言い終えると同時に、

絶え間なく鞭をふるうクアトラの攻撃により

首が千切れるかと思うほどの火傷を負わされた蝸牛が

耐えきれなくなり、殻の中に閉じこもった。


「これで、こいつは抑え込めるわね」


「なら、お任せするわ」


殻の上に乗り、手を振るクアトラに、この場を任せて

アルメディアは、戦いの中に、身を投じた。



一方、エンデとゴージアの2人は、

アンジェリクとカスティーヌと、対峙していた。


「エンデヴァイス、今度こそ、逃がさん。


 必ず、貴様を屠る」


狙いをエンデに絞っているアンジェリクの横では

カスティーヌが、ゴージアを睨みつけている。


「悪魔を滅ぼす為に、我はここに立つ。


 魔王ベーゼの配下、いや、悪魔エンデの配下、ゴージア。


 ここが貴様の墓場だぁぁぁぁ!!!」



雄叫びを上げ、突進してくるカスティーヌを見て

ゴージアがエンデに告げる。


「若様、しばらく離れますので」


そう言い残し、ゴージアが、エンデから離れると

お互いに、1対1の形となった。


『神の怨敵に裁きを』


突然、呟いた簡略化された呪文により、

天空から、エンデに向けて稲妻が降り注ぐ。


だが、エンデは、それを、躱してみせる。


「ふっ、この程度でか、当たらぬか・・・

 ならばっ!」


再び、天空から稲妻を降り注がせると

それを、トライデントで受け止め、

方向を変えて、エンデに、攻撃を仕掛けるアンジェリク。


必死に、回避するエンデ。


「どうした?

 逃げることしか出来ないのか?」


攻撃を仕掛けながら、挑発するアンジェリクに、

エンデが、一気に距離を詰めた。


──遠距離では、分が悪いと踏んだか・・・・・

  だが、それも、想定済みだ・・・・・


踏み込み、攻撃を仕掛けようとするエンデに対して

アンジェリクは、トライデントを向けると同時に

大きく翼を広げ、先程の雷と同じ色のオーラを纏った。


そして、エンデの攻撃に合わせて、

トライデントを、振り下ろす。


結果、エンデの攻撃は、トライデントにより

塞がれてしまったのだが、

まだ終わりではない。


アンジェリクの攻撃は続く。


雷を纏ったアンジェリクのオーラが

解放されたのだ。


「ぐわぁぁぁぁぁあああ!」


体全体に、電流が流れ

自然と、剣を手放してしまう。


拾い上げる余裕などない。


意識を失う前に、何とか脱出を試みるエンデに対し

チャンスと見て、もう一歩、前に出ようとするアンジェリク。


──このままでは、本当に、まずい・・・・


成す術のないエンデを見て、笑みを浮かべる。


「やはり、貴様など、この私の敵ですら無かったようだな」


追い込まれたエンデに対し、

アンジェリクは、トライデントを振りかざすと

エンデの心臓に、狙いを定めた。


「これで貴様も、終わりだぁぁぁ!」


放たれた一撃。


だが、エンデは諦めてはいない。


━━━回避が無理なら・・・・・


密かに、右の掌が光らせる。


アンジェリクには、気付かれていない。


放たれた一撃が、もうすぐ、心臓に届くと思われた瞬間、

間一髪のところで、その一撃を、回避した筈だった・・・・・



そう、エンデは、完全には、回避できていなかったのだ。


その証拠に、槍先の1本が、エンデの肩を貫いている。


「躱したようだが・・・・・残念だったな」


トライデントを伝って、電気が流れ込む。


『グワァァァ!!!』


エンデの叫びが、暗闇に包まれたサラーバの街に響くと

その声に、反応する者達が現れる。


それは、この街の中に、隠れていた元ベーゼの配下達。


新しく主になったエンデの声に、反応しない者などいない。


声の方向に走り出す悪魔達。


一方、自身の叫びが、仲間を、この場所に呼び寄せたことを知らないエンデは、

未だ、アンジェリクの攻撃を受けていた。


全身に電流が走り、踊っているかのように、体が勝手に暴れる。


その姿を見て、満足そうに笑うアンジェリク。


「死の舞踏か・・・・・中々、良いものだ」


そう告げたアンジェリクだったが

暫くして、エンデの反応が薄くなると

勝ちを確信し、攻撃を止めた。


「呆気ない最後だったな」


言葉通り、自然と地面に向けて倒れ始めるエンデ。


その光景に、アンジェリクは、安堵し、警戒を解いてしまう。



だが、エンデは、まだ生きていた。



──今しかない・・・・・



右の掌にあった光が、エンデの体を包み込むと

今度は、足元から、緑の淡い光が現れて

エンデの体に纏わりつき、

先程の傷を、全て癒してみせた。


「な、なんだこれは!?」


突然の出来事に驚くアンジェリクを放置し

俯いた状態のまま、ニヤリと笑みを浮かべたエンデが

渾身の一撃を、お見舞いする。


防御も、回避も不可能な状況での腹部への一撃を食らい

アンジェリクは、トライデントを手放し、体をくの字に曲げて吹き飛んだ。



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