第234話天使侵攻3
ミッシェルが倒されたことを知る由もない
天使と兵士の混成軍は、
エンデ達と戦っていた。
近づいた者達から、順に倒しているが
その中に、天使たちの姿はない。
アンジェリクの命令なのか
天使達は、傍観者となり、戦いの行く末を見守っているだけで
手を出してこない。
しかし、視線だけは、ずっとエンデを捉えており
こちらに向けてくる視線に、いやな気分になるエンデだが
今は、対処のしようがない。
それはダバンも同じで、目の前の敵を倒すことに
必至だ。
こうして、襲い掛かる兵士だけを相手にしていたが
戦いが長引くにつれ、エンデ達にも疲労の色が現れ始める。
「あと少しと、いったところか」
アンジェリクのその言葉に、ほかの天使達が
武器を手に取った。
「アンジェリク様、準備は、整っております・・・」
「わかった・・・」
アンジェリクが、その時を待っていると
兵士の屍から、零れ落ちた血液により
ダバンが、足を滑らせる。
そこに、待っていましたとばかりに、兵士達が一斉に襲い掛かった。
態勢の崩れたダバンに、全てを受け止めることなどできない。
確実に、一撃は食らう。
覚悟を決めたダバンだったが、そこに、エンデが割り込み
攻撃を防ぐと同時に、兵士を弾き飛ばすと
その兵士は、仲間を巻き込みながら飛んで行き、
天使達が待機している下の家屋に衝突した。
家屋の崩壊に伴い、砂埃が舞うと
一瞬だが、お互いの姿を見失う。
そして、砂埃が収まると、
その場には、屍となった兵士達の姿があった。
また、吹き飛ばされたせいで、
エンデとアンジェリクを、繋ぐかのような道ができており
お互いが、正面で向き合う形となるところだったのだが
アンジェリクの視線の先に、エンデの姿がない。
それだけではない。
ダバンの姿も、みえなかったのだ。
突然、姿を消した2人を、捜す為に
辺りを見渡していると、天使族の2人が
先ほどの兵士と同じように、吹き飛ぶ。
「!!!」
突然の出来事に、
皆が動きを止めていると
そこに、姿を見せたのは、エンデではなく
ダバンだった。
「おい、高みの見物は、もう終わりだぜ」
「貴様、いつの間に・・・・・」
この中では、下級と思われる天使の2人は、
少し離れたところにあった家屋と衝突した後、
家屋の崩壊に巻き込まれたようで、
今は姿がない。
だが、天使達は、姿が見えなくなった仲間の事よりも、
目の前にいるダバンに、視線を集中させ
警戒を強めている。
「おい、貴様は、悪魔ではないようだが
たった1人で、我らに勝てるとでも思っているのならば
それが、間違いであることを、証明してやろう」
言い終えると同時に、天使族の【カスティーヌ】と【スマトラ】が
ダバンに、襲い掛かった。
2人を迎え撃つ形となったダバンだが、
その場から、一歩も、動こうとはしない。
全ては、想定通り。
もう少しで、ダバンに触れると思われたその時、
ダバンが口を開いた。
「出番だ・・・」
その言葉に従い、地面が揺れると、
そこから、巨大なアンデットのドラゴン、
サラバドが姿を現し、スマトラに噛みついた。
『ギャァァァァァ!!!』
悲鳴を上げることしかできないスマトラの体に
ドラゴンの牙が食い込み始めると、
悲鳴を上げることもなくなり、
あっけなく命を落としてしまう。
「スマトラが、やられただと・・・・・」
思わず、動きを止めてしまったカスティーヌの呟きに反応し
サルバドの視線が、カスティーヌを捉える。
「アンデットになったとはいえ、
流石、神の敵といわれるドラゴンということか・・・
だが、このままで終わるわけにはいかぬ」
オーラを纏い、ドラゴンへと県を向けるカスティーヌだが
肝心なことを忘れている。
それは、エンデの存在。
完全にそのことを忘れているのか、
カスティーヌは、迷いなく、サラバドに突撃した。
「スマトラの仇は、この手で、必ず、取らせていただく!」
剣を振り上げた状態で、突撃するカスティーヌ。
だが、何かに気が付いたのか
アンジェリクが、思わず大声を上げた。
「カスティーヌ、とまれ!
今すぐ引き返せ!」
その声が届くと、カスティーヌは、動きを止めた。
だが、そこは、サルバドの射程内。
真横から、サルバドの尻尾が、カスティーヌに、向けて振るわれたのだ。
しかし、アンジェリクのおかげで、ギリギリで躱すことができた。
九死に一生を得たカスティーヌは、スマトラの持っていた槍を拾い
アンジェリクのところまで下がった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます