第204話アガサ サラーバでの戦い⑦
ガクブルが消滅した後、エンデは、もう一人のヴァンパイアに目を付ける。
「次は、お前の番」
そう告げたエンデが、ツベットに向かって歩き始めると
そこに、ゴージアが、割って入った。
「主様、ここは、私に、お任せを・・・・・」
「なら、あいつは、俺が始末する。
エンデ、お前は、見学だ」
エンデの返事も聞かず、ワァサは、ゴージアと共に、前へと進み出ると
互いのヴァンパイアと向き合った。
「あまり時間をかけるつもりはない。
かかってこいよ」
「たわけが。
ここにいるのが、何故、2人しかいないと思っているのだ」
その言葉通り、突然、エンデ達を取り囲むように
多くのヴァンパイアが、姿を現した。
「ククク・・・・・時間をかけるつもりは無いと言っておったが
これでも、それが出来るのかな?」
「くっ・・・・・」
デルトーレは、笑みを浮かべた後、話を続ける。
「そうだ、紹介したい者がいたのを、忘れておったわ。
アガサよ、貴様も、姿を見せてはどうだ」
デルトーレの言葉に従い、アガサも、
ヴァンパイアブライドと共に、姿を現した。
「ワァサよ、流石に貴様も、これだけの者を相手にすることなど、
出来る筈もなかろう・・・ククク・・・」
満面の笑みで、そう告げたアガサだったが、
エンデを見つけると、一瞬にして、笑みが消える。
「な、何故だ!
な、何故、ベーゼが、ここにいるのだ!?」
ワァサや、ゴージアからしたら、
その反応は、当然の事と思えた。
それと同時に
あることを思いつき、行動に移す。
「貴様は、ベーゼが死んだと、本気で思っていたのか?」
「何を、馬鹿なことを・・・・・
確かに、ベーゼは、死んだ筈だ」
「なら、貴様は、ベーゼの死体を見たのか?」
「そ、それは・・・」
口籠るアガサに、ワァサは、追い打ちをかける。
「こ奴が、ベーゼだという証拠は、
ここにゴージアがいることで、証明になるだろう」
確かに、ゴージアは、ベーゼの執事。
その為、疑う余地が無い。
「ま、まぁ、どのみち、貴様らはここで死んでもらう。
そうなれば、何時、死んでいようが、関係ない。
覚悟しろ!」
先手を取り、エンデに襲い掛かるヴァンパイア達だが、
その横から、ゴージアが、ヴァンパイア達を吹き飛ばした。
「残念ですが、主の手を、煩わす訳にはいきません。
先程も、申しました通り、私が、お相手致します」
吹き飛ばされたヴァンパイア達が、立ち上がる。
「貴様・・・・・」
立ち上がったヴァンパイア達は、
エンデから、ゴージアへと狙いを変える。
「いいだろう。
貴様の望み通り、相手をしてやる!」
一斉に、襲い掛かるヴァンパイア。
ゴージアは、それを真正面から、受けて立つ構えを見せた。
ツベットを先頭に、ゴージアに襲い掛かったヴァンパイア達だが
あと少しで、ゴージアに、触れると思われた瞬間
ゴージアが、正拳突きを繰り出すと
その風圧で、吹き飛ばされた。
そして、体勢を崩した崩したところに、
ゴージアが接近し、一撃を加え、確実に屠ってゆく。
こうして、仲間のヴァンパイア達が、屠られてゆく姿に
ツベットの怒りが溢れだす。
「貴様ぁぁぁぁぁ!!!」
ツベットの怒りが、体に変化を及ぼし
ヴァンパイアの姿から、ワーウルフへと変化した。
「この私を、本気にさせたのだ。
それ相応の対価を払っていただこう」
先程までの速さが、比較にならない程の速さで
ゴージアに接近すると
勢いのまま、殴りかかった。
「むぅ・・・」
回避を試みるゴージア。
だが、ツベットの拳の方が速い。
捉えた拳を振りぬくと
今度は、ゴージアが、吹き飛んだ。
「ふんっ!
この姿になれば、貴様など、相手にならぬわ!」
「それは、どうでしょう」
吹き飛ばされたゴージアだったが
何事もなかったかのように立ち上がると
ツベットへ視線を向けて、言い放つ。
「これで、終わりでしたら、今度は、こちらから参りましょう」
その言葉通り、ゴージアが距離を詰めようと駆け出すと
ツベットも、迎え撃つように、走り出した。
そして、2人が、衝突する。
先程と同じように、ツベットが拳を振り上げ
ゴージアに、一撃を加えようとしたが
その振り下ろされた拳を、ゴージアが受け止めて見せたのだ。
慌てて距離を取ろうとするツベットだったが
握られた拳が離れない。
「離せぇぇぇ!」
必死に力を込め、引き離そうとするが
ピクリとも動かない。
「どうかしましたか?
逃げたければ、どうぞ、お逃げください」
言葉とは裏腹に、ゴージアは、拳を握っている手に力を込めた。
『グワァァァァァァ!』
叫び声をあげるツベットに、ゴージアが襲い掛かる。
空いていた手で、殴り始めたのだ。
1発、2発、3発と、
次々に、ツベットの顔面にヒットする。
そうして、数十発の拳を受けたあと、
ツベットは、息絶えた。
だが、彼は、ヴァンパイア。
このままにしておけば、復活することはわかっている。
その為、ゴージアは、自身の拳を、
強引に、ツベットの口の中に捻じ込み、魔法を放つ。
『フレイム』
体内に送り込まれた炎が、ツベットを、完全に焼き尽くした。
「さて、こちらは、終わりましたが
あちらは、どうでしょうか?」
ゴージアは、エンデとワァサへと視線を向けた。
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