指輪 ベンQ エクソシスト養成指定学校

 セレェナは、サーベルのようなものを取り出した。先端こそとがってはいないが、エクソシスト養成指定学校の学生に配布されているものだ。

《ヴァッサアア》

 丁度そこに、悪魔ニリィが飛び降りてきた。

「あんた、お兄ちゃん♡の何なの?いったいどうして家族みたいなふりをしたの?」

「さあ、あんたを“おちょくる”ためかもね、私もトレトーが好きなのよ」

「はあ!?お兄ちゃんは、私のものよ、だってこの指輪」

 左手の中指を差し出したニリィ。

「これを薬指に入れ替えたとき、お兄ちゃんは私のものになるのよ」

 ニリィは肩と足を勢いよく交差させた、そして、サーベルの先端で彼女のリングをさそうとした。

「いった!!」

 ニリィは手を引っ込めるも、指は赤くなっている。

「何をするのよ!」

「ちょっと痛いだけよ」

「なんで、これが羨ましいの?」

「さあ、そうかもね」

 ニリィは槌をとりだして、ブンブンとふりまわす、しかし、あろうことか、セレェナのサーベルはそれをはじいて、後方に吹き飛ばした。

「!?どういうこと」

「このサーベルは、“マナ”を増幅させる、それだけじゃないわ流すと曲がる性質があるの」

 セレェナはふっと笑うと、先端がねじれて、指輪に巻き付こうとした、瞬間、ニリィはセレェナに弱いながらの“チャーム”をかけた。

「つっ……」

 目の前がくらつくセレェナ、しかし、チャームは即興で魔力もよわかったからか、すぐに正気をとりもどした。

「しねえ!!!」

 そのとき、よこから黒い影があらわれ、ニリィにくみついた。ニリィの目は殺気だっていて、その正体を考える余裕もなかった。背丈がちょうど同じくらいのその影の正体について。影は吠えた。

「やめろ!!」

「うるさい!!」

「お前は、暴走気味だ!!忘れたか、屋敷でのこと!!」

「うるさい、うるさい!!私は、ニリィだあ!!」

 その影が、ニリィの指輪に触れようとした瞬間だった。ニリィは背中に棒状のものがあたることにきづいた。先ほど吹き飛ばされた槌だ。それに気づいてニリィは、片手で手に取り、想いきりぶん回した。

「お兄ちゃん以外、全員、死ねええ!!!」

《ズドーン!!!》

 その影に、素早くマリがかけつけた。

「……トー!、トレトー!!」

 影は体を起こす。ニリィはそこでようやく気付いた。起き上がったのはトレトーだと。


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