仲間
リコは、公園のブランコに乗っていた。夜、セレェナを呼び出したのだ。
「なあに?話って」
セレェナはいつのまにか直ぐ傍にたっていて、リコはそれをみて、突然屈みこんで泣き出した。
「どうして!!どうしてあんなにかわいい子をいじめるの!悪魔だっていうけれど……気づいているでしょ?あんな悪魔いないよー」
「……リコ」
セレェナはしゃがみこんで、リコの額に両手をつけて、くいっと持ち上げた。
「わかってるよ、ウソ泣き……」
「えへへ……」
突然リコは立ち上がり、無邪気に散歩をし始めた。今度はセレェナから、リコの意図を組んで話を始める。
「彼は……黙っていたのよ……以前、あの悪魔と戦っていたこと、そして目の敵にされていた事を」
「何か理由があるんでしょ?」
「理由って……思い出のスポットも嘘だったし、カリューナの事本気で思い出したいかだって、嘘かもわからない」
「セレェナ……」
ふりかえり、反対にブランコに座り込んだセレェナに呼びかける。
「穏やかに待て、そして自分の心の素直さに従え」
「リコ……」
「セレェナ、私はあなたの心の中の“大事な人”に近づけない、もともと無茶な考えかもしれない、だけど」
「リコ!」
「聞いて……」
ふと、胸に手を当てて、美しい青い瞳で、セレェナをまじまじと見つめた。
「セレェナ、あなたは嘘をついている」
「う、嘘なんて……」
「友達でしょ?あなたは、こんな小さなことで“怒ったりしない”あなたには別の考えがあるはずよ……あなた、本当はあの小さな悪魔、トレトーちゃんの事が心配になったんじゃないの?」
「……」
「あなたたちはよく似ている……大丈夫、友達をたよって……怖い事なんてないよ」
―薄暗い廃墟に、電灯がともった……悪魔の力で、魔力を電力に、光をともしたのだ―
「おはようございます……ヤニー様」
「おお……そこにいたか、クラントよ」
「はい……あなた様のおかげで、私は“ヤンキー”たちの諍いを逃れ、力を手にする事ができました、感謝しております」
ヤニーは、瞳をとがらせ、ふと陰険に笑いながら彼を見下ろし、意味ありげに笑った。
「あなたさまの言いつけ通り、“一週間”が立ちました」
「ああ、俺は悪魔との戦闘で、大部分の魔力を失っていたからな、回復が必要だった、それだけでも、お前には、価値がある」
「“宿主として”でもですか?」
「そうだな、おまえは少なくとも従順だ」
だが、ヤニーは黙っていた。クラントを利用しているのは、ここまでだ。“戦いに使用する宿主”が別にある事を。ヤニーは派手な青のシャツに革のコートを羽織ると、クラントに言いつけた。
「さあ……戦争だ、人間は弱い……“記憶編纂”能力に気づけば、すぐに俺の従者になるだろうよ“決闘”で勝利してもいいが、俺の力を見せつけるだけで……あの哀れな少女“セレェナ”は俺の魂になる」
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