危険。
―セレェナ視点。
セレェナはヤニーというエクソシストにあってから、ずっと詰問されていた。どこで悪魔とあったとか、悪魔の所有物をどこでひろったとか、その間ずっとクラントはセレェナから目をそらしていた。
セレェナにも疑問はないわけではなかった。エクソシストを名乗る男は、いやにニコニコしているし、教師からも何も聞いていない。それより、こんな自信満々なエクソシストを見たことがない。皆、どこか病んでいる、それがエクソシストというものだ。
百歩譲って学校を介さずに介入してきたとしても、この“自信”こそがむしろ、疑問だった。相手は続けて質問をする。
「君は、どうしてそんなに“二つの自分”を守っているんだ?それは“親友”との思いでを忘れないためか?あるいは逃げ続けているからか、辛い記憶から」
「何?」
「私の魔力に覚えはないか?」
「??」
「フン……何も知らない、忘れているようだな、無理もない、私も忘れていたくらいだ、大方……記憶系の魔法を“トレトー”が使ったのだろう、だがお前は“二度目”のようだな、どうして“二度”もあいつが目を付けたのか、はなはだ疑問だ」
ふと、ニヤリ、とわらったヤニーは、セレェナの目の前で指パッチンをした。すると、セレェナはひどく頭痛がして、数々な嫌な思い出が徐々によみがえってきた。頭を抱えていると、背後からかけてくる足音がする。トレトーだろうか、何かを叫びながらかけてくるが、頭痛で言葉が判断できない。
すっと、セレェナのアゴに、ヤニーは手を伸ばした。頭痛はやまない、徐々に、奥深くの過去がえぐりだされるような気がした。
「思い出いしたか?」
「あんた……何をしたの?」
「お前が“過去をすて、裏切りを忘れた”その報いだ、“私の魔導書の中で眠るお前の友”もまた、この事を喜んでいるだろう、クハハ」
トレトーは、帽子を下ろして命じた。ベンQは一人で飛び立った、かに思えた。
「“宿主”を探せ!ベンQ!!」
「承知しました!!」
が、飛び立ったそれは、店の側面の壁にぶつかって、地面へ落下した。セレェナは、それをみてまたひどく落ち込んだようだった、足音が近づいてくる。同時に鼻血をだして、セレェナは倒れた。
「ヤニィイイイイイ!!!!」
その脇を右手を引き絞ったトレトーが駆け抜けてきた。そして、ヤニーに向かって正拳突きをした。
《スルリッ……》
ヤニーは“人間に乗り移っていた”らしい。ヤニーの“本体”はスルリと人間の背後からでて、おなじみの姿を現すと、黒い翼をひろげ、翻って、飛び立とうとした。
「ヤニィ!!!」
その叫びに瞬時にヤニーは振り返った。そして叫んだ。
「トレトオオオオオオオ!!!!」
《バリィイイイイイイン》
ヤニーが叫ぶのと同時に、店の窓という窓が割れて、方々で悲鳴がおこった。
【お前は嘘つきだ、その女も、自分にうそをついている人間はとてつもなく弱い、今日は“警告”だ、お前たちの弱さを自覚させるためのな】
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