疑い。
暫く後の週末。セレェナは、クラントに呼び出されかけつけることになった。リコとトレトーと一緒に休日を過ごしていたが、突然の呼び出しに三人でかけつけた。
「新しい問題がある、今すぐ話したい」
と呼び出されたのだ。
学校前のあるカフェで落ち合う。セレェナの友人がバイトをしているため、挨拶をすますと、クラントの姿を探した。クラントは、向かって右側にある入口と反対の一番奥のガラス窓の席にすわっていた。クラントの背後には、白い……ところどころ甲冑じみた、しかし基本的には神父の服、キャソックににた、ピッチリとしたエクソシスト専用の服を着た男がたっていた。
「……こんにちは」
ニッコリとした。しかしどこか含みのある感じで、妙な違和感を感じたのを覚えている。その人の顔つきと、“内面”との落差があるような、そんな違和感だ。
「こんにちは、どうも初めまして」
セレェナが話している間。背後の右端の席で二人になりきり、筆談をかわすリコとトレトー。トレトーが
『なぜおまえは男の子供が好きなのだ?』
と尋ねると
『そういう二次元の性癖で、現実には影響ないから気にしないで』
『性癖?二次元?お前は次元を超越する能力を持つのか?』
というのでリコは噴き出しそうになった。
話を続けるセレェナとエクソシスト。
「初めまして……私の名前は《ヤニー》」
「こんにちは……初めまして……ところで今日はどういったご用件で?」
トレトーは、盗み聞きして《ヤニー》という名前にどこか心当たりがあるような気がした。それと同時に、妙な感じがした。
(我がセレェナ渡した、バインド・グミの気配が、セレェナからしないが、しかし、あのエクソシストから……妙な気配がする)
ぼーっと考えていると、筆談で、リコが続きをせがむ。
『トレトーちゃんは、優しいお姉ちゃん好き?』
『女というものに興味はない、これは生来の性質らしい、我が興味があるのは、遊びまわる事だけだ!!』
ガーンと気を落とすリコ、その一方で、トレトーに渡したペンは、リコ視点では宙にういて、ペンを進める。
『なあ、セレェナは、私の“バインド・グミ”をもっていないのか?忘れたのか?』
『ああ、それなら、クラントちゃんにばれちゃったから、彼に渡して、エクソシスト課の先生に渡しておいたって……』
『!?』
その視線の先で、件のエクソシストがこんな話を始める。
「時に、あなた最近“悪魔”に出会ったようですなあ」
「え?どうしてそれを」
「ほら、あなたがもっていたという“魔遺物”を、クラントさんが教師に渡し、エクソシスト教会に連絡がありまして」
次に、ヤニーは自分の時計に手を伸ばした。その時だった。何かに気づいたトレトーが叫んだ。
「魔針!!危ない!!!」
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