糸状乳頭



いつか拾ってきた飼い猫、アルデンテ。廃校となったこの建物をテリトリーとして歩いているらしい。


が、ここ二日ほど見ていない。


飯は減っているので生きてはいる模様。どうしたものか。



今日も夜が静かだった。



広すぎるこの校舎の中でひとりぼっちの私。いつもは夜になると目が覚めたのかアルデンテの走り回る足音が聞こえてきたものだった。カシャカシャカシャカシャと爪と床の擦れる音。それが一昨日から聞こえない。


こんなに静かだっただろうか。いや、元々ひとりでいたのだから静かな方がなんというか、でふぉると、だ。日中は人が来てるからまだしも、夜が。うん。眠れず。


布団に入ってそんなことを考えていた。寝返りを打とうとしたら、ほっぺがざらざらした。痛い。



「アルデンテ、忍び足は禁止にしようと思う。あとかくれんぼも禁止」


足音もさせず忍び寄っていた猫に頬を舐められて、ようやく私は夜に馴染んだ。猫を布団の中に引きずり込む。冷えてきた今日この頃には、猫が必需な気がした。



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