面影雲
「わーあの雲ピラフっぽーい」
「このエビフライお父さんに似てるー」
「このグリーンピース前食べたやつに似てる」
こういうことを言うのが私の兄だ。
これは私が管理人になるずっと前の、まだほんの自由な中学生で、兄が生きていた頃の話だ。
いつもどうでもいいような独り言みたいな話をしては私を微妙な気持ちにさせる。
ある意味ゆるい空気が私は好きだったのだけれど。
そんな兄が言ったことで一番衝撃的だったのが、ある朝二階の自室から降りてきて、
「俺、結婚するかもしれない」
と言ってのけたのだ。
目の玉が飛び出るかと思った。
事の真相はまあ夢だったのだが、仲のいい女友達がいるのは知ってたから現実感があって驚いたのだった。
時は過ぎ私は管理人。
こんな唐突に兄のことを思い出したのは、
窓から晴れた空を見ながらいつも来る友人を待っていた時。
遥か遠くに浮かんだ雲を見て、
「あの雲ピラフっぽい」
と、無意識にこぼしてしまったから。
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