第56話 古代の神々
白い空間は崩壊し、消滅していた。
そこには、ヨシュア、ミレーユ、ファル、ニャル、ダタイ、レガルド、スキッドロアが顔を並べて、倒れ伏すレティシアに心配そうな視線を送っていた。
「しかし、どうなったんですかねぇ……」
「恐らく、
スキッドロアが推測の言葉を口にした。
「
ヨシュアが驚愕に満ちた声を上げてスキッドロアの顔を凝視する。
「
「私が彼女に与えた《
スキッドロアは、レガルドに主神であるダイナクラウンを呼び捨てにされ、思うところがあったのか、少しムッとしながらも丁寧な口調で説明する。
「ちょっと待ってッ!?
意識を取り戻したミレーユも驚きを隠せない。
「その通りです。そもそも世界に広まっている神話は捏造されたものなのですよ。元々、混沌から生まれたのは、今で言うところの
「本当なんですか? 僕からしたらその話も眉唾ものなんですが……」
「所詮、あなたは
「彼女の中に感じた力の正体は
「あん?
「その通りです。まぁ立場から来る呼び名の違いですよ」
「ん? となるとレティシアさんが放った最後の術はどうなんです?」
「あれも不完全な解釈かと。あれはロギアジークとマーテルディアの二柱が
今度は主神を呼び捨てにされたレガルドの表情が変わった。にこやかな笑みの中に穏やかではない色をにじませている。
「なるほど……。となると、レティシアさんはより強力な
その時、レティシアから
『レティシアッ!』
「マスター!」
「レティ姉ちゃん!」
その声にヨシュアとミレーユが、そしてファルとニャルが、レティシアに向かって心配の声を掛ける。レティシアは、倒れたまま伸びをすると、ガバッと上半身を起こした。
「あれ? あたしどうしてた? 何かやっちゃった?」
レッドベリルを滅ぼした前後の記憶がなく、寝ぼけたことを口走るレティシアにミレーユとファル、ニャルが抱きついた。ヨシュアもその頭をガシガシと乱暴に撫でる。
「ちょッ! 何よ!? 何なのよ!? 説明してってば!」
「やったなッ! おいッ!」
ヨシュアがレティシアの背中をバンバンと叩く。
「レティシア~!」
ミレーユは抱きついたまま大泣きし始める。
彼女の取り乱し様を見て、レティシアは返って落ち着きを取り戻した。
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