第50話 命術の行使
「やるね。キミは並の剣士ではないようだ」
「ふん。良い一撃が入ったと思ったんだがな……大して効いてねぇみたいでショックだぜ」
「キャンサーは
やはり《
神話では
それに今のレティシアは何が真実で、何が虚偽なのか判断がつかない状態に陥っていた。古代神の配下であるレッドベリルに本当に魔術が特効となるのか、疑念が払拭できない。
となれば、レティシアに残されているのは
レティシアは既に
そして今、命をも削る覚悟を決めた。
急激に
【かつて
魔術の明かりではない、温かい太陽の光のようなオーラがレティシアから発せられる。それはどんどんと膨らんで大きさを増し、まるで狼煙のように天にも昇らん勢いで立ち込めていく。
レッドベリルはそれをただじっと見つめていた。
その目には先程の歓喜の色はない。
あるのは失望。
そして、言葉は紡がれた。
【
「あんたの主神である
レティシアの声が高らかに響き渡る。
その膨大な力はレッドベリルの中で暴走し大爆発を起こす――はずだった。
しかし、何も起こらない。
「グウウウウウウウウウ」
響くはレッドベリルの低い呻き声のみ。
それだけだった。
レティシア渾身の
レッドベリルの失望の混じった怒声がレティシアに向かって飛んだ。
「ダメだ……。それでは神など倒せないッ! 本気でやっているのか?」
「有り得ないッ! 全く効かないなんて……」
崩れ落ちるレティシアにレッドベリルの冷酷な言葉が浴びせ掛けられる。
「キミのせいだよ。キミのせいで仲間が死ぬ」
死の宣告を受けたのは――
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