出会い

 ――――……

 ――……

 ……


『ルーナ・ジェーナは、女神さまを知っているの?』


 クレタと呼ばれる少年に訊かれた時、少女ルーナ・ジェーナは、こたえられなかった。


 ――女神さまのことを、わたしは知っているのだろうか。

 ――、女神さまのことを知っているのだろうか。


 少年クレタを地下神殿に案内しながら、少女ルーナ・ジェーナは考えた。


 ――

   わたしは、女神さまを知ってるのかもしれない。

   


 どこからか、蝶が 飛んできた。


 ふうわり と、少女ルーナ・ジェーナの頭上を舞って、

 ゆっくり と、少年クレタの近くへ。


 ふわふわ と、甘い香りは夢心地。

  

 ……

 ――……

 ――――……




 そう、これは、もう すぐ そこまでやってきている 未来の話。


 森の夜明けも近い。



 でも、まだ 少女ルーナ・ジェーナは 夢の中。


 記憶を手放した あの時の姿のままで。


 を 待っている。


 森の夜明けが近づいてくる。






 

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