五臓六腑がロックする

たなか。

ロックバンドは偉大

 私はよく「ああ、ストレスだなあ」と感じることがある。例えば、歩きスマホをしている人が自分とぶつかりそうなり、舌打ちされた時、皆並んでいるのに順番を抜かして電車に乗り込む人を見た時、電車で足を大きく広げて座る人を見た時、朝起きたら顔にニキビが出来ていた時、あまり仲良くない人や波長が合わない人と一緒にいる時、などなど、数え出したら止まらないぐらいある。でも私は、昔から「全然怒らないよね」とか「怒ったことあるの?」とか言われることが多く、どうやら感情を全く表に出していないようなのだ。心の内側ではかなりの頻度で愚痴を言っているのに周りには一切伝わっていない。まあ、伝わっていたらそれはそれで大変だけど。

 日々表には出ない数多くのストレスを感じた時、私はいつも遮音性に優れたイヤホンで爆音でロックバンドを聴く。外で聴くときは音漏れがしないギリギリの音量まで上げて、周囲の音をほとんど遮断している。聴くのはロックバンドに限る。その中でも三度の飯よりも大好きといっても過言ではない、SUPER BEAVER、ハルカミライ、04 Limited Sazabys、などなど(好きなバンドが多すぎる中で特に好きな人たち)を中心に爆音で流し、頭を完全にロック状態にする。これだけで感じていたストレスがすーっと無くなり、愚痴でいっぱいいっぱいだった脳が浄化される。「単純な人だな」って思われるかもしれないが、私にとってはこれが効果的すぎて、ロックは本当に偉大だといつも思う。特に寝る前、部屋を真っ暗にし、音漏れを気にしなくていい環境で爆音で聴くロックは至福でしかない。私はあれほど一人で幸せを感じられるものはないと思い込んでいる。もし、私が聴くバンドについて知らないという人がいれば、是非とも聴いてほしい。音楽という音楽が詰まりに詰まっていて、きっと彼らの魅力に気づき、どハマりすること間違いなし。

 もう一つ音楽関係でストレスなんて元々なかったのではないか、と錯覚する場がある。それはライブ。ここでもロックになってしまい申し訳ないが、ロックバンドのライブは色んな意味で何よりもアツく、自分の全てを肯定してくれる。彼らのMCで笑ったり、泣いたり、セットリストで興奮したり、私は一生あの場所にいたい。むしろ住みたい。彼らを好きな人ばかりで埋められた空間というのは、本当に最高な空気に満ちていて、明日も頑張ろうと必ず思える。だから、ロックバンドのライブに行ったことがない、という人は一度でいいから行ってみてほしい(ロックバンドを布教するエッセイになっている気がする)。特にライブハウスで見るロックは別格なのだ。席が指定されて、大きな空間で見るロックも最高だが、ライブハウスのあの密な状態で、まるでサウナのような中で感じるロックは最高を通り過ぎる。汗だくになっても気にすることなく、目の前にいる彼らに無我夢中な感じが堪らない。さらにはライブ後に飲むドリンクはこれもまた格別だ。至高の一杯と言ってもいいほど、うまい。これら全てひっくるめて五臓六腑がロックしているのだ。

 あ、一つ最も大きなストレスを忘れていた。外出時にイヤホンを家に忘れた時、これを超えるちょっとした日常のストレスは私にはない。あの絶望感といったら。

 

 

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五臓六腑がロックする たなか。 @h-shironeko

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