第6話 女王の逢引《デート》
すっかり日の暮れた後の平原を1頭の馬が駆け抜けていく。
ブリジットとボルドをその背に乗せた馬は、新都の東門を出て1キロほど先にある小高い丘を目指していた。
満天の星空を頭上に見上げるボルドは、ブリジットの腰につかまりながら、思わず
「すごいですね……」
「ああ。見事な星空だ」
日中はまだ夏の暑さの名残りを感じさせる秋の初めだが、夜のこの時間になるとさすがに肌寒い。
そんな夜に2人は連れ立って出かけたのだ。
ボルドと2人きりで星空の下へ駆け出したかったからだ。
ブリジットは馬に揺られながら再び頭上を見上げる。
「晴れて良かったな。ボルドの言った通りだ」
ボルドには
そして……。
「はい。せっかくの流星群の日ですからね」
この日は秋の流星群が降り注ぐ夜だった。
それを聞いたブリジットは彼と2人きりで流星群を見たいと思い、夜の外出を決めたのだった。
「もうすぐ着くぞ」
馬が丘を登り始め、ほどなくして頂上にたどり着く。
ボルドはすぐに馬から降りると、背負っていた
その間、ブリジットは馬を近くの木に
そうして準備が整うと、2人は身を寄せ合って
そして
すると
だがすぐに暗順応で目が慣れて来ると、雄大な星空が今にも頭上からのしかかって来るかのように思えてボルドは圧倒された。
そしてその口から自然と
「私が
「ボルド……そうだな。アタシも同じだ。今まで星空なんていくらでも見てきたはずだが、今日こうしておまえと見る星空に勝る美しさは今まで感じたことが無い」
2人は静かに見つめ合うと軽い口づけを交わした。
すぐ間近からブリジットに
中からは夕方に
だがブリジットはボルドの
「
そう言うとブリジットは先ほどと同様に短い
ボルドは困ったように
「……ブリジット。せっかく焼いたのですから食べて下さい」
「もう一度
「……約束ですよ?」
ブリジットとボルドは再び軽い口づけを交わす。
だがブリジットは意地悪そうに目を細めて笑いながら言う。
「今のではダメだな。もっと深くて濃いものじゃないと」
「約束しましたのに……」
「しないなら
「い、いたしますよ」
ボルドは
軽い
次第に2人は
その時……2人の視界の
「あっ……」
2人は
するとそこには無数の流れ星が空から舞い落ち来ていた。
2人は息をするのも忘れてその光景に目を見開く。
「始まったな」
「す、すごい……」
「ああ……ここまでとは」
空から降り注ぐ無数の流星群は、この世界に舞い落ちる人々の夢の
ボルドとブリジットは2人で見たこの光景を
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