第2話 女王の療養
「ブリジット。お顔が赤いですよ」
朝、目覚めると
季節は冬に向かうところで、天幕暮らしには辛い時期だ。
夜はしっかりと火を
「少し頭がボーッとするが大丈夫だ」
そう言うとベッドから起き上がろうとするブリジットだが、フラついてベッドの脇に落ちそうになる。
ボルドは
やはり
「熱がおありですね。今日は無理せずお休み下さい。ブリジット」
「このくらいの熱で休むわけにはいかん」
「いいえ。このくらいの熱のうちに休んでおかないと後でもっとひどいことになりますよ」
ボルドは
こうしてブリジットはこの日の仕事を休み、療養に努めることとなったのだ。
☆☆☆☆☆☆
「あ、そこに置いて下さい。私がやりますから」
ボルドにそう言われて
食べやすいように果実をすりおろしたものや、スープ類だ。
ボルドはそれらの皿を手に取ると、ブリジットが身を横たえるベッドのすぐ脇に腰を下ろした。
そしてスープを
「どうぞ。ブリジット」
「それくらい自分で食べられるぞ」
恥ずかしそうにそう言うブリジットにボルドは
「たまにはいいじゃないですか。こうして昼間にご一緒できるのは
そう言うボルドにブリジットは赤い顔をますます赤くして
「ますます熱が上がるようなことを言うな」
「ご自分で食べますか?」
「……食べさせてくれ」
観念してそう言うブリジットに
ブリジットは少し気恥ずかしそうに、だけど少し嬉しそうにそれを飲む。
そうしてボルドは
その
多忙な女王の生活に疲れているのだろう。
「最近はお忙しそうだったので、こうしてブリジットがごゆっくりされていると少し安心します」
「……無理をしていたのかもしれんな。ボルド。すまない」
そう言うブリジットの手をボルドはそっと握り締めた。
「いえ。でも時々は立ち止まって下さい。そういう時に寄り
「ボルド……ありがとう。汗をかいたから、体を
「はい」
そう言うとボルドは先ほど
それを
「今夜から少しの間、
「ええ。残念ですね。ですがしっかりと体調を整えねばなりません」
「本当に残念だと思っているか?」
「ええ。もちろんです。でも……ブリジットのご健康が何より大事ですから」
そう言うボルドにブリジットの顔には少しばかり勝ち気な表情が戻って来た。
「治ったら夜は寝かさないからな。覚悟しておけよ」
「はい。楽しみにしております。たくさん愛して下さいね」
冬の近付く寒い昼間だったが、2人の間には暖かな空気が満ちているような、そんな一日だった。
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