第24話 最終決議

 午後の会議が再開された瞬間、部屋の中は緊張で張り詰めていた。窓からの柔らかい光が、僕たちの顔を照らし出し、まるで重要な歴史の瞬間を記録するかのようだった。勝家は、もう何も言わなかった。彼の沈黙は、冬の長い夜が明ける前の静寂のように、重く、深かった。


 秀吉は、三法師擁立を主張したが、自身の側近役については言及しなかった。彼の態度は、秋の葉が風に静かに舞うように、軽やかでありながらも何か計算されたものがあった。僕はその瞬間、自分の内なる声に従って行動する時が来たと感じた。


 僕は立ち上がり、静かに、しかし確固たる意志を持って自分の提案を再び提示した。「三法師を中心とした新体制を築き、重臣たち全員でその庇護をすべきだ」と。僕の言葉は、冬の凍てついた地を溶かす春の太陽のように、暖かく、力強かった。


 先程の出来事があまりにも強烈で、秀吉、勝家、恒興、そして一益もが賛同を示した。それぞれの同意は、明け方の空に現れる星々のように、一つ一つが明るく輝いていた。


 ついに会議は僕の提案で一致した。三法師を中心に新たな時代が始まることが決定された瞬間、僕の心は、長い冬の眠りから覚める動物のように、躍動感を感じた。それぞれの武将が新しい役割を担うことに同意した時、僕たちの未来は、まるで新しい絵巻物が開かれるように、新たな章へと移り変わった。


 木陰から羊男が、ほのかに微笑んでいた。彼の微笑みは、僕たちの決断を暖かく見守る、古い友人のようなものだった。彼の存在は、この会議のすべてがただの偶然ではないことを物語っていた。彼の微笑みには、静かながらも強い力が感じられ、僕たちの新しい時代への道を照らしているようだった。


 僕は、この新しい時代がもたらすであろう変化に思いを馳せた。それは、長い旅の終わりと新たな始まりを告げる、静かな夜明けのように感じられた。僕たちの未来は、今、新たな軌道に乗り始めたのだ。

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