第21話 あちら側からの訪問者
重い門がついに開いた。しかし、その瞬間、外の様子が明らかに普通ではないことがわかった。長秀は直感的に感じ取った。それは「あちら側」、現実とは異なる何かがある場所だった。民衆や他の武将も、外の世界の異様さを静かに感じ取り、場は静まり返った。真昼なのに、薄暗い影が立ち込めるあちら側から、滝川一益が一歩ずつ入ってきた。
群衆は息を呑んだ。外からの一益は見た目は同じだが、その存在感、その空気は完全に信長そのものだった。彼の周りには、目に見えない力のようなものが漂っていた。それはただのオーラではなく、まるで別次元からの力を感じさせる何かだった。
一益はゆっくりと進み、三法師の手を握った。そして、深い感謝の意を込めて「ありがとう」と言葉をかけた。その瞬間、不思議なことに、その力のようなものが三法師に移るのが見えた。まるで星のように輝くエネルギーが三法師の周りを包み込み、彼を異世界の存在のように見せた。
一益から力が抜け切る時、彼は長秀、秀吉、恒興、勝家の4人を見つめ、「あとは頼んだ」と一言言い放った。その言葉には、彼らに対する深い信頼と任せる意志が込められていた。その言葉が終わると同時に、一益から感じられた異世界の力は完全に消え、彼は再びただの一益に戻った。
この驚くべき出来事に、会議場にいた全員が驚きと困惑に包まれた。あちら側からの訪問者がもたらしたメッセージと力は、清洲会議の参加者たちに深い印象を残した。長秀は、一益と三法師の間で交わされたこの瞬間の意味を深く理解し、新たな時代に向けての決意を固めた。
この出来事は、会議の最終日に起こった意外な展開として、戦国の世の歴史に刻まれることとなった。三法師へ移った力は、新しい時代の幕開けを予感させるものであり、長秀はその重要性を深く感じていた。
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