第20話 開かずの門と三法師の力

 清洲会議の最終日、会議場は予期せぬ事態に見舞われた。一益の到着を告げる城の門が、理由もわからず開かないのだ。この奇妙な現象は、会議の進行を一時的に停止させ、参加者たちの関心を完全に門へと移させた。


 「いったい何が起こっているんだ?」池田恒興が不満げに呟いた。それに応えるように、柴田勝家、丹羽長秀、豊臣秀吉の4人が力を合わせて門を押し開けようとした。彼らは息を合わせ、「一、二、三!」の掛け声とともに全力で門を押したが、門はまるで動かなかった。その重さは、まるで大地自体が閉じ込めようとしているかのようだった。


 「もっと力を!」秀吉が叫んだが、彼らの筋肉は限界に達していた。彼らの顔には疲労の跡が見え始め、汗が大量に流れ落ちていた。しかし、それでも門は微動だにしなかった。


 続いて、織田信雄と信孝が交代でチャレンジした。「開けろ、開けろ!」と信雄が力強く叫んだが、結果は変わらず、重い鉄製の門は動かなかった。二人の努力にもかかわらず、門は歴史の重みを象徴するかのように動かない。


 再び秀吉ら4人が加わると、門は少しずつ軋み始めた。「もう少し!もう少しだ!」と秀吉が声を張り上げた。皆の努力が徐々に実を結び始めていたが、門は5センチも開くことはなかった。門を開くことは、まるで時代そのものを動かそうとするかのような重さを感じさせた。


 その時、意外な展開が起こった。幼い三法師が小さな手を添えると、不思議なことに門が一気に開こうとする。まるで三法師の純粋な力が門に影響を与えたかのようだった。その瞬間、会場には驚きと歓声が響き渡った。重い門が少しずつ動き始め、ついには開こうとしていたのだ。


 この光景に、会議場にいた全員が息をのんだ。三法師の手の力によって、重い門が開き始めたのだ。門が完全に開いた瞬間、会場は拍手と歓声で満ち溢れた。しかし、その歓声の中で、皆は次なる展開を待っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る