第30話 坑道の広場におどろおどろしい化け物がいました

皆に残ったほうが良いと言ったのに、誰も残らなかった。


まあ、それならそれで良いんだけど……


「自分の身は自分で守るのよ」

私はそう言ってやったのだ。いるのはなんかとてつもない物だ。私はみんなを守れない。


「ふん。私はあんたなんかに守ってもらわなくても、エリク様に守ってもらうんだから」

ピンク頭はそう言うと私の護衛騎士のもとにかけていった。


そのまま、抱きついて、

「エリク様。なんか怖いんです」

とやっているんだけど。


6歳の子供がやっても効果は……いや、効果は断然ある。


流石に6歳のガキを私の騎士も無下には出来ない。



「さすがピンク頭はやることがあざといわね」

メラニーがきついことを言っているんだけれど、事実だ。

あいつはどこでも生きていけるかもしれない。さすが平民は違う。

私はつくづく感心したんだけど。


「フラン様。平民が全てあそこまで図々しくはありませんから。あれは特別です」

更にひどいことをメラニーが言っているけれど。



「何をしているのですか、フランソワーズさん。行きますよ」

フェリシー先生が私に注意してきた。


「先生、坑道の中からなんか不吉な気配がするんですけれど」

私が一応警告するが、


「何を言っているんですか。フランソワーズさん、そう言ってサボろうなんて許しませんよ」

フェリシー先生の言う事はきついんだけど。


先生のことを考えて言ってあげたのに……。


「フランソワーズ様。さっさといらっしゃって頂けますか」

伯爵が何かに急かされたように私を急かすんだけど……


こいつもとても変だ!


躊躇した私は強引に伯爵に手を引かれて坑道の中に入らせられたのだ。


こいつからも嫌な気がする。

私も聖魔術が使えれば浄化できるのに……

流石の私も聖魔術までは使えなかった。


まあ、いざとなれば一瞬で燃やしてやろうと私は決意したのだ。


くらい坑道の中を伯爵家の騎士を先頭に、伯爵、私、メラニーそして、グレース。

そして、フェリシー先生が続く。


ピンク頭はあるか後ろをおっかなびっくりで歩いていた。

あいつ、私には減らず口を聞きながら、やはり怖かったんだ。


まあ、その方が足手まといが減って良い。


しかし、この坑道も長そうだ。


色々入り組んでいて、歴史を感じさせた。


おどろおどろしい感じは右手の坑道から漂ってきて、伯爵達は迷いもなく私をそちらに連れて行こうとするんだけど。


「ファリエール伯爵。侍女さん達に聞いたんですけれど、行方不明が出だしたのはここ5年くらい前からだそうですね」

私は伯爵に聞いた。


「侍女たちはあなたに余計なことを話してくれたようですね」

伯爵が慌てるかと思いきや、なんか開き直ったみたいで、笑いながら話してくれたんだけど。


「どうされたのです。ファリエール伯爵。気分が優れないのですか」

フェリシー先生が気にして言うが、

「男爵夫人風情が私に気やすく話しかけないでくれますか」

伯爵はそう言うとフェリシー先生を見下したのだ。


「伯爵、何かおっしゃられましたか」

「黙っていろというんだよ」

伯爵はそう言うと私を思いっきり引っ張った。

私は伯爵の腕の中にいた。


「な、何をするのですか」

フェリシー先生から叫ぶが、伯爵は私を引っ張ると奥に連れて行こうとする。


近衛騎士が対処しようとしたが、先生との間に伯爵領の騎士が入ってきた。


「先生。大丈夫です」

私は取り敢えず、先生らが怪我しないように言う。


「ふん、落ち着いていられるのも今のうちだ。貴様はあの方の生贄になるのだ」

伯爵が叫んでくれた。


「あの方とは」

「それを知る時はお前が死ぬ時だ」

伯爵はそう言うと私を思いっきり広場の中へ突き飛ばしたのだ。


そして、そこには赤黒く光るおどろおどろしい物体が蠢いていたのだ。


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