第22話 悪辣な罠が仕組まれた伯爵領に何も考えずに喜んでいきました

夜フェリシー先生に怒られて、翌昼王妃様にも怒られて最悪の2日間だった。


バラの木をボロボロにされた王妃様の怒りも凄まじくて、私は女の子を助けただけなのに、フェリシー先生の補講が追加されたんだけど、絶対におかしい!


でも、王妃様は許してくれなかったんだけど……


「もう、やだ。領地に帰りたい」

という、私を必死にアドが機嫌取ってくれるんだけど。


「実の母親なんだからアドから何とか言ってよ」

というと、


「ゴメン、今俺が色々言うわけにはいかないんだ。だからたのむ。少しだけ我慢してくれ」

って頭を下げられて仕方無しに認めたけれど……これ以降、アドが王妃様から私を庇ってくれたことなんて殆どなかったんだけど……。



「そもそも、明後日から、ファリエール伯爵領へ行くんだろう。そこではさすがのフェリシーも補講はしないって」

「そうか、そうよね」

私はアドの言葉に喜んで頷いたのだ。


でも、フェリシー先生が場所を選ぶ訳はなかったのだ。

私達の希望的観測は打ち砕かれて、伯爵領でも夜遅くまで補講があったんだけど……



伯爵領への行きの馬車は4人、それも、候補者4人での馬車だった。


礼儀に煩いフェリシー先生は馬車の中にはいなかったのだ。


生意気なピンク頭とグレースと一緒というのは少し嫌だったけれど、礼儀作法に煩いフェリシー先生がいないだけでも、ひと息つけられた。


そして、馬車の中では私は王宮料理人が作ってくれたお菓子を食べていたのだ。


「ちょっとフラン、食べ過ぎなんじや無い」

グレースが言ってくれるんだけど。


「良いじゃない。フェリシー先生もいないんだし」

そう言うと私はグレースの前にお菓子を差し出した。


「いらないわよ。あんたと違ってそんなお菓子食べ飽きているんだから」

グレースが言ってくれた。


「そうなんだ。これ王宮のシェフが作ってくれた最新のお菓子なんだけど、要らないんだ」

「えっ!」

グレースがその瞬間固まった。


「嘘っ、これ美味しいわ」

そのグレースの横でピンク頭が私に無断で勝手に食べだしたんだけど……それはそれでムカつく。


「王宮のシェフの料理は私も食べて良いはずよ」

ピンク頭のもっともな意見に文句を言えなかったので、私は頷くしか無かった。


「ちょっと、じゃあ、私も食べて良いはずじゃない」

グレースがそう言って手を伸ばしてきたんだけど。


その手を叩くわけにもいかずに、私は取るに任せたのだ。


メラニーも少し食べてくれて、私達は伯爵領に着くまでお菓子を食べて過ごしたのだった。


そして、山が見えてきた。


「あっ、伯爵領の手前のトンネルが見えたわ」

グレースが言ってくれた。


「このトンネルの向こうがエルグラン王国の始まりの地よ」

グレースが言ってくれた。


「ん、なんか不吉な予感がするんだけど」

私が言った。


それになんかトンネルの向こうから変な気が漂ってくるんだけど。


「また、フェリシー先生に怒られる予感じゃないの」

ピンク頭が嫌なこと言ってくれるけれど。


「そんなわけ無いでしょ」

もう怒られるだけ怒られたのだ。でも、私はまだ怒られ足りていなかったのを知らなかったのだ……


馬車がトンネルの中に入って、馬車にランプが着く。

前後を近衛の護衛騎士が、先生らは別の馬車2台で前を走っている。


そして、トンネルを抜けると一面田んぼだった。


「トンネルを抜けるとそこは田んぼだらけだった」なんかの話にあったはずだ。

「何よ、そんな言葉聞いたこと無いわよ」

ピンク頭が突っ込んできた。


「『トンネルを抜けるとそこは雪国だった』よ」

メラニーがなんか呟いてくれたが、馬車の車輪の音で良く聞こえなかった。


そして、馬車は王宮ほどではないが、巨大な邸宅というよりも宮殿に入っていったのだ。

「凄い」

「伯爵邸ってこんなに立派な所に皆住んでいるの?」

ピンク頭が聞いてくるんだけど。


「何言っているのよ。ここは元離宮なのよ。伯爵家は先祖が王家の血筋を引いているからこの始まりの地の離宮を与えられたのよ」

グレースが解説してくれた。


馬車がついて、私達は馬車から降りたら、私の方にフェリシー先生が近寄ってくるんだけど。


思わず、私は逃げて行きそうになった。


「フランソワーズさん。王宮のシェフがファリエール家へお土産に作った茶菓子を間違えてあなたに全て渡したみたいなのよ。少し、返してくれるかしら」

フェリシー先生の言葉に私は固まってしまった。


「間違えてですか?」

「いくらあなたでもあれだけの量を食べるのは無理でしょう」

当然のようにフェリシー先生が言ってくれるんだけど。


「えっ。あれって道中のおやつだと思って皆で食べてしまいました」

「フランソワーズさん。あなたあれだけの量のお菓子を全部食べてしまったのですか」

フェリシー先生の目が怖いんだけど。


「いえ、ローズさんとグレースさんと一緒に」

「ちょっとフラン」

「あなたが食べていいって言ったからじゃない」

二人は驚いて私を見たが、食べたのは事実だ。

結局私達4人共、フェリシー先生から怒られる羽目になってしまったのだった。


不吉な予感が当たってしまった。


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『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://kakuyomu.jp/works/16816927863351505814

が皆様の応援のお陰様で『次にくるライトノベル大賞2023』ノミネートされました。

https://tsugirano.jp/


なんと上から五番目に載っていました(あ行だから当然なんですが)

まさか、ノミネートされるなんて思ってもいませんでした。本当にありがとうございます。

推薦して頂いた方には感謝の言葉もございません。もう気分は皆様のおかげでとてもハイです!

ここに載ることが出来るなんて夢みたいです!


そして、ここから本投票です。単行本は60冊ノミネートされていてベスト10になればデカデカと発表されます。皆々様の優しい心遣いでベストテンに入らせていただければ…………

投票して頂けたら嬉しいです!


下にリンク張っています。


このお話も面白くなるよう必死に書いていくのでよろしくお願いします。

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