第5話 : キーを見つけましょう

 文章を書くことへの抵抗が少し薄れましたでしょうか。

 前話までを簡単に要約すると、


 ・ 誰でも文章は書ける

 ・ 面白そうな文章だって誰でも書ける(面白いではないことに注意。

   面白いかどうかは読者が個々に判断するものです)


 突然ですが、ここで義務教育時代の読書感想文を考えてみて下さい。

 四百字詰め原稿用紙二枚の作文がスラスラ書けましたか。私は全然ダメで、面白く感じたこと、興味を持ったことを書けと言われても全然面白くないし、何の関心も無いから何も書けないとずーっと思っていました。


 一応、今の私ならテンプレ的ラブコメらしきものの感想として、つまらないことでも感想のうちだと思い、今ならばこんな風に書くでしょう。

(素直だった昔は作品から学んだ良いことを書くのが感想文だと思っていました。随分捻くれた大人になったものだと以下を書いていて実感しました)



「作品を読み終わった時に抱いた感想は『つまらない』でした。

 主人公がなぜ相手の姿を見ただけで泣くのか私には意味が分かりません。私であれば泣かずに「なぜ私に何も告げずに引っ越したのだ」と怒るでしょう。私のことを大切な友達だと思っているのなら私が悲しむことは分かっているはずなのに。主人公は過去を忘れているのでしょうか。

 そしてヒロインはこれから新しく関係を築きたいのなら少しでもわだかまりを消す努力、つまり謝ることから始めないといけないと思います。ヒロインの今でも自分が愛されていることが当然だという不遜な態度に不快感を覚えました。

 主人公の優しさを伝えたい気持ちは分かりますが、私とは感情のあり方が違いすぎて、主人公のことがよく理解できませんでした。その為、その後の話も私の心には響かなかったです。

 私ならばこうはしないだろうという違和感だけが残りました」



 正確に四百字以上ではありませんが、改行や字下げ等もあるので宿題程度のものならば充分な量でしょう。


 感想ですからヨイショする必要もないですし、感想文本体中のキーとなる部分(この場合は泣くシーン)から話題を広げれば、何とか筋が通っていそうな文章が書けるのです。


 何が言いたいかというと、四百字を書くのは何も考えずに書こうとすると案外大変ですれど、キーとなる部分を見つけて(ここではあくまで感想を書く上でのキーです。読んでいる作品のキーポイントでなくても全然かまいません)、そこから話題を広げれば四百字程度は割と簡単に埋まると言いたいのです。


 そんな風に話を広げていけば千字や二千字は書けるかも知れません。それが十個まとまれば一万字、立派な作品です。更にそれらを時系列で十回ずつ書けば十万字、堂々たる小説です。


 話を作るためのポイントさえハッキリさせておけば、あとはそれを核にして様々な視点で物語は書けるのです。


 恋愛小説だってラブコメだって、とどのつまりは「A男とB子が恋人になるまでのお話」が半数以上ではないでしょうか。派生として付き合った後の話や寝取られやざまぁもありますが、それとて「B子がC男と浮気した」だけの話です。それをそこに至るまでの過程やその後を書くことでバリエーションと変化を与えている。乱暴に書けばそうなるでしょう。


 基本の流れがハッキリしていれば、あとは肉付けだけ。


 その流れをどう作るか、どう見つけるかですが、それは次回で。



☆☆☆☆☆☆


 拙稿が「創作論・評論」ジャンルでランキング一位となりました。

 嬉しいと言うよりもこんな作品がトップに立って大丈夫かという不安の方が大きいです。

 ランキングに関する感想等の詳細を近況ノートに記してありますので、興味のある方はご覧頂きたく存じます。


 カクヨム、大丈夫なのでしょうか……

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