第103話 後悔あとを絶たず
「彩音さん、大丈夫ですか?」
「大丈夫なわけがないよ。なんだか体調が悪くなってきた」
いつもは何を言われてもひょうひょうとしている彩音さんが珍しくメンタルをやられてる。
それだけサラさんに言われたことが堪えているのだろう。僕は彩音さんがこんな姿になっている所を初めて見た。
「(だけど彩音さんに同情する余地はないな)」
普通に考えたらその人がいない場所であったとしても、人の悪口を言っていたら怒られるに決まってる。
それがわかってるはずなのに、彩音さんは何であんなことを言ったのだろう。
「神倉さんごめん。なんだか気分が悪いから、今日の個人レッスンは中止にしてもいい?」
「あたしは構いませんよ」
「それじゃあ僕は部屋に戻るよ。ごめんね」
あの落ち込みようを見ると、しばらく立ち直りそうにない。
これは困った事になった。このまま2人に仲違いされていては、これからの収録にも差支える。
今のところ収録の時は2人共何もなかったかのようにこなしてるが、この状態が長続きするわけない。
いずれは共演NG、最悪サラさんが事務所を辞めてしまう可能性もある。
「ごめん、斗真君。あたしが余計な事をいったせいで、こんなことになって」
「ななちゃんが気に病むことはないよ。悪いのはサラさんが傷つくことを平気で言う彩音さんだから気にしないで」
そもそもの話、彩音さんのあの失言ががなければ今頃2人は仲直り出来ていたはずだ。
むしろななちゃんは彩音さんの事を心配して提案したのだから、悪い所なんて何一つない。
「それよりも僕達だけで続きをしよう」
「彩音さんはいないけど、あたし達2人だけで大丈夫かな?」
「大丈夫だよ。それに彩音さんの周年ライブまで時間がないから、今は少しでも多く練習した方がいい」
そうしないと3Dライブでななちゃんが恥をかくことになる。
そうならないようにするためにも練習は必要だ。
「わかった。あたしも頑張るから、斗真君もサポートをお願いね」
「もちろんしっかりサポートさせてもらうよ。そしたら休憩は終わりにして、練習を始めようか」
「うん!」
「今からかける曲はななちゃんが歌う部分だけガイドボーカルが入るから。それに合わせて歌ってみて」
「わかった」
それから僕とななちゃんは彩音さん抜きで練習を再開する。
そしてその練習中、今まで順調に進んでいたダンス練習に暗雲が立ち込み始めた。
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ここまでご覧いただきありがとうございます。
続きは明日の7時に投稿しますので、よろしくお願いします。
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