第35話 不確定な情報

 次の日の朝いつものように学校にいくと、ななちゃんが月島さんと話している姿が見えた。

 2人だけで話している様子を見ると、相変わらず池田さん達とは仲直り出来てないらしい。クラス内には月島さんと池田さん、2つのグループが形成されている。



「おはよう、神宮司。ゴールデンウイークはゆっくり出来たか?」


「うん! ゆっくりできたよ。尾崎君はどうだった?」


「だから俺の名前は尾崎って‥‥‥嘘だろう!? 神宮司が俺の名前を間違わなかっただと!?」


「僕が尾崎君の名前を間違えなかったのがそんなに意外?」


「意外に決まってるだろう。俺と会う度に間違えてたんだから、今回も間違えると思って、どうツッコミをするかも考えていた」



 確かに尾崎君の言う通り、今までの僕なら彼の名前を間違えていたかもしれない。

 だけど最近彼がしょっちゅう僕の所に来るので、嫌でも覚えてしまった。



「お前は本当に神宮司か!? 別のクラスのそっくりさんで、偽物じゃないよな?」


「失礼だな。僕は本物の神宮司斗真だよ。この顔が偽物に見える?」


「すまん。いつも俺の苗字を間違うから、間違わなかったことに驚いた」


「これだけ毎日のように話してれば、嫌でも覚えるよ」



 それだけ僕と尾崎君の関係が深くなったと言えなくもない。当の本人はどう思ってるかわからないけど、少しは彼と仲良くなれたような気がした。



「そうか。それよりもお前、今月島と柊の事を見てただろう?」


「見ていたんじゃなくて、たまたま目に入っただけだよ。あんな華やかな2人がクラス内にいたら、ついつい目が行くでしょ」


「確かに見た目だけは華やかな組み合わせだな」


「何か含みがある言い方だけど、どうしたの? あの2人と何かあった?」


「別にあの2人と何かあったわけじゃない。ただ俺が言えることは、あの2人とは出来る限り関わらない方がいい」


「関わらない方がいいってどういうこと?」


「これはビジ友として言わせてもらうが、月島はともかく柊と仲良くなりたいなら諦めた方がいい」


「何で柊さんと仲良くしたらダメなの!? 何か彼女が悪い事でもした?」


「さすが神宮司だ。鋭いな」


「えっ!? もしかして本当に柊さんが何か悪いことをしたの?」


「別に柊が悪いことをしたわけではない。ただ巷ではあいつは男をとっかえひっかえするビッチだと言われている」


「ビッチ? 何で柊さんがビッチなの?」


「それは‥‥‥ここでは言えん」


「言えないってどういうこと?」


「これは俺が掴んだ極秘情報なんだ。それをどこで手にいれたかなんて、おいそれとお前に話せるわけがないだろう」



 さっきから尾崎君は何を言っているのだろう。

 柊さんがビッチなはずないじゃないか。彼女が他の男をとっかえひっかえしている話なんて、僕は1度も聞いたことがない。



「と・に・か・く!! 俺が言いたいのは柊とは関わらない方がいいってことだ。わかったな?」


「はぁ?」


「俺は忠告したからな。あいつと絡むとろくな事にならないぞ」


「どこに行くの? もうすぐホームルームだよ!?」


「ちょっと俺はこれからやることがある。じゃあな」



 それだけ言い残すと尾崎君はどこかへ行ってしまう。

 結局彼は僕に何を伝えたかったのだろう。それがよくわからないままいなくなってしまった。



「変な尾崎君。まぁ、いいか。気を取り直して、次の授業の準備をしよう」



 尾崎君の言ったことなんて気にせずに、僕は授業の準備をする。

 予鈴が鳴った後、すぐに先生がクラスに入ってきて朝のホームルームが始まった。



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新年あけましておめでとうございます。

今年も1年よろしくお願いします。


続きは明日の8時に投稿しますので、よろしくお願いします

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