第28話 どっちが好き?

 フィギュアコーナーを一通り見た後は2人でアニメグッズが売っているコーナーへと行く。

 柊さんのエッチなトークにたじたじな僕だが、この場所は先程のフィギュアコーナーの時とは違いエッチな物がない。



「(ここなら柊さんも暴走することはないだろう)」



 先程の場所とは違い、ここでは安心してグッズを見れる。

 ここなら柊さんの性欲を掻き立てるような物もないので、落ち着いて話をすることが出来るはずだ。



「Toma君、このキャラクターを見て!」


「このキャラクターはガンアートラインに出てくる主人公の妹だね」


「この子が竹刀を振ってるシーンなんだけど、斗真君はこれを見てどう思う?」


「僕は一生懸命練習してて、頑張り屋さんだなって思った」


「違うよ!! このキャラクターのお尻を見てToma君はどう思ったのかあたしは聞いてるの!!」


「お尻!? なんでそんなマニアックな所に柊さんは目をつけてるの!?」



 せめて目をつけるなら、胴着の谷間から見える大きな胸だろう!?

 普通の人ならほんのりと汗をかいていてしっとりと濡れている弾力のある胸に目が行くはずだ。それなのに何故お尻に目が行くんだ!? それは間違ってるよ!?



「その様子だと、もしかして斗真君はこの子の胸に目がいったの?」


「‥‥‥‥‥‥うん」


「それならそうと言ってくれればいいのに! 確かにこの子は胸も大きいし、それでいて張りもあるから触り心地が良さそうだよね!」


「確かに」



 何故僕はこんな所でクラスメイトの女の子と胸の話をしているんだろう。

 彼女はこんな所でその話をしていて、恥ずかしくないのかな?



「形といい張りといいこの弾力、この胸はあたしといい勝負かもしれない」


「えっ!?」


「あたしとこのキャラクター、Toma君はどっちの胸が好み?」


「どっちが好きかと言われても、さすがにそれは比べられないよ!?」


「そうかな? パッと見でどちらがいいか選んでくれればいいんだよ」



 そんな選択、僕に出来るわけがない。

 確かに柊さんもこのキャラと同じくらい胸は大きいと思う。胸の形や張り、弾力を比べても柊さんの方が断然いい‥‥‥‥‥って、僕は何で今柊さんの胸を見たんだ!? 破廉恥だろう!?



「あはっ♡ Toma君、今あたしの胸を見たでしょ?」


「みっ、見てなんて‥‥‥」


「遠慮しなくてもいいよ。あたしが比べてって言ったんだから、じっくり見ていいからね♡」



 柊さんは僕が彼女の胸をチラッと見ていたことに気づいていたようだ。

 なんとか目をそらそうとするが、彼女が僕のすぐ目の前まで近づいているせいでそこから目が離せない。



「もしまだ悩んでるなら、Toma君に抱き着いて感触を確かめてもらうしかないけど‥‥‥‥‥」


「柊さん!! 柊さんの胸が1番だよ!!」



 二次元のキャラクターと目の前のたわわな果実を比べたら、普通は目の前の果実を選ぶだろう。

 一応僕も男の子なんだ。自分の欲には忠実になる。



「Toma君、あたしの事好きすぎ!」


「しょうがないでしょ。2次元のキャラクターと柊さんを比べるなら、僕は迷わず柊さんを取るよ」


「でも、漫画やアニメでは主人公の男の子がそう迫られたら2次元の方を選ぶよ」


「確かにそういう人もいるよ。だけど目の前にこんなに可愛くて魅力的な女の子がいたら、普通はそっちを選ぶはずだよ」


「魅力的な女の子? あたしが?」


「あっ!?」



 しまった!? 今うっかりして、柊さんに自分の本音を言ってしまった。

 取り消そうとしてももう遅い。小悪魔がいたずらを思いついたような笑みを浮かべて、彼女は僕の顔をまじまじと見ている。



「そうなんだ。Toma君はあたしみたいな女の子がタイプなんだね」


「ちっ、ちがっ!?」


「そんなに取り繕わなくてもいいんだよ。あたしもToma君と同じ気持ちだから、ここはお互い腹を割って話し合おう」


「それってどういうこと!?」


「言葉の通りだよ。あたしもToma君みたいな男の子がものすごくタイプなの。場合によってはお付き合いをしてもいいと思ってる♡」


「えっ!? 冗談でしょ」


「冗談って言ったらどうする?」


「そんなに僕を困らせるような事を言わないで欲しい、って返す」


「じゃあ冗談じゃないよ。あたしはToma君みたいな男の子がタイプだから、覚えておいてね」



 柊さんは自分が何を言ってるのかわかってるのか?

 それって見た目だけでいえば僕の事が好きだと言っているのと同義語だぞ。それをわかって言ってるのかな? 



「(たぶんこの様子だと僕をからかってるだけだろうな)」



 なんとなく柊さんの様子を見ててそう思う。

 今もアニメのポスターを笑顔で眺めてるし、今の発言は柊さんの気まぐれなような気がした。



「Toma君、あっちには遊戯ダムのグッズコーナーがあるよ!」


「そうだね。せっかくだから見に行こうか」


「うん!」



 それからも柊さんにエッチな話に翻弄されながら、アニメグッズを順々に見ていく。

 この後お店を一周して商品を一通り見た後、フィギュアショップを出た。


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ここまでご覧いただきありがとうございます。

続きは明日の7時に投稿します。


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