巨根と近衛騎士
とりあえずクレアには知らぬ存ぜぬを通しぬいてエメリアちゃんと昼食を取ることにした。
街の中央あたりにある飲食店は貴族様御用達のお高い価格設定らしく行けないのだが、かと言ってギルドで食事を摂る気にもならなかった。街の門の近くにある庶民達のよく行く飲食店をエメリアちゃんに教えてもらって入った。
依頼の報酬が銀貨五枚、これがどれだけの価値があるのかはわかんないんだけど確か十日以内に銀貨一枚の納税が必要だったはず。
このランチが銅貨5枚らしいからまぁ何とか納税は出来そうである。
「ここの日替わりランチはその時旬な野菜や魚を使うからいつ来ても美味しいんですよ。」
「へぇ~!それは楽しみですね。それでは私も日替わりランチをお願いしてみます。」
エメリアちゃんに勧められるままにオーダーをウエイトレスさんにお願いしたが正直料理がどうとかあまり気が回らない。
ゴブリン・・・・。
これ絶対俺じゃん。
どうすっかなぁ。
あの依頼、どうやったら取り下げられるのかなぁ。俺が討伐されない限り終わらないとかだったらどうしよう。
うーん、俺が倒したことにするか?でも絶対死体の一部とか求められるじゃん?
えー?自分のちんこちょん切ってギルドに持っていくか?
童貞のまま、我が分身を失うとか死も同然だろ。
「お待たせしましたー。日替わりランチ二つです。」
とりあえず食うか。
美味そうだな。流石エメリアちゃんだ。地元の美味しいものを教えてもらうには地元の人間に聞くのが一番だな。エメリアちゃんは味覚も一流だしな。
確かに美味しい。
めちゃくちゃ美味しい。
こっちの世界に来て美味しいものしか食べてないな。まぁ元の世界にいたときはコンビニ弁当とか牛丼屋やハンバーガーがほとんどだったからなぁ。
うめぇ。
「ところでスズキさん、宿とかどうします?」
あ、そうだったわ。これから毎日エメリアちゃんの部屋に住まわせてもらうわけにもいかないもんな。
「そうですね。実は私、遠方から来てこっちのお金事情が分からないんですよ。エメリアさん、もしよろしければ詳しく教えてもらってもいいですか。」
「あーなるほど、わかりました。私でよろしければお教えしますね。」
エメリアちゃんに教えてもらって分かったことが
銅貨十枚で銀貨一枚、銀貨百枚で金貨一枚。
ここの日替わりランチが銅貨十枚、これはランチとしてはそこそこ高いらしい。
宿一泊がこの辺だと銅貨八枚くらいでエメリアちゃんの部屋の家賃が月に銀貨八枚だからやっぱり賃貸を借りたほうがお得ではあるだろう。
洋服や武器とかはかなり金額に幅があるみたいで銅貨一枚で買える洋服もあれば金貨百枚でも買えない装備もやっぱりあるらしい。
最後に教えてもらったのがエメリアちゃんの月給で銀貨十八枚らしい。これが多い方なのかと問われると正直決して多くはないらしい。ただ、本人曰くハーブの勉強をしながら収入を得ることが出来てるのでやっぱりこの仕事に就くことが出来たのは幸せとのこと。
「この街を拠点にして生活をしていくのであれば部屋を借りる方がいいと思いますけどこれから他の街とか国に行くのであればやっぱり宿を借りたほうがいいのかも入れませんね。」
うーむ。
別にこの世界で旅をしたいと思ってはいない。セックスするためにこの世界に来たわけだし。旅をしたいと思ってはいないのだが折角だから色々な地域や国を回ってみたい気もする。
まぁでもちんこ小っさくなってよかったな。特徴が無くなって無事に討伐の心配も無いのかな。
近衛騎士かぁ。
放っておいて大丈夫かな。
「であれば今日中に納税して一旦は宿を探してみます。」
「そうですね。それが無難かもしれませんね。宿だったらこのレストランのすぐ隣に丁度いいのがありますよ。」
「何から何までありがとうございます。もし何かお困りのことがあれば今度は私がお手伝いしますね」
「ありがとうございます。私はお城の近くのエヴァーハーブ店ってお店にいるのでいつでも遊びに来てくださいね。」
エメリアちゃんとの同棲生活、なんとかゲットする方法ないかなぁ。
難しいクエストだわー。
エメリアちゃんに報酬の分け前、銀貨二枚を渡してバイバイした。
最初三枚渡そうかとしたのだがエメリアちゃんに要らないと言われそれからじゃあ二枚、いやいや、だったら一枚でとかどうとかこうとかやり取りすること三十分、結局二枚を受け取っていただき落ち着いた。
その後、銀貨一枚を納税して残り銀貨一枚と銅貨五枚。ちなみに納税は冒険者ギルドでできた。なんでもギルドに税務署関係の方が一名常駐してるらしい。
その後、エメリアちゃんに教えてもらった宿に部屋を取って夕方までのんびりした。なんと所持金残り銅貨七枚。
結構しんどいな。今夜夕食で銅貨五枚使ったら残り銅貨二枚じゃん。
あーでも折角だからこっちの世界のお酒とか飲んでみたい気もするな。
そう考えたのが良くなかった。
酒場的な場所を宿屋のフロントのおばさんに聞いて向かった先は昨日通ったギルドの裏路地近くにあった。
意外だったのがそこでの夕食代が銅貨三枚で飲み放題時間無制限で銅貨二枚、計銅貨五枚だった。
やっぱランチはそこそこの価格設定だったんだなぁ。
またここは庶民というより冒険者御用達という事でアルコール類が安酒で安く飲めるとのことだった。
料理はまぁ昼に比べると味が落ちるのだがそれでもコンビニ弁当を自宅で一人寂しく食べるよりは全然マシだ。
これで誰かと一緒に食べることが出来れば最高なんだけどなぁ。
沢山の冒険者パーティが楽しく飲んでいる中でボッチ飲みはしんどいよなぁ。
今朝のことながらエメリアちゃんとの食卓が懐かしい。
カウンターで飲むお酒は多分カクテルの類で果実っぽい風味を感じる。柑橘系かな。
夜遅くなっても色々飲んでみたいのでグラスを空けるたびに飲み放題のメニューの中から気になるのを片っ端から頼んで飲んでいた。
ギィ。
こんな時間でも客が入ってくるとかこの店、知名度あるのかな。
どかっと俺の席の隣に座ったのでふと隣に目をやった。
そこには絶世の美少女がいた。
年齢的には十代後半から二十代前半、長いブロンドの髪が腰のあたりまで流れている。その腰もまたキュッと締まっていてその下に美しい曲線を描いてお尻がある。スカートから伸びる脚も決して太くなくかと言って細すぎない。白く輝く綺麗な脚。正直ぶっかけたい。白い脚をもっと白くするためにもぶっかけたい。
っていうかあれ?
視線を上に向けるとその横顔には見覚えがあった。
っていうかあれだ、舌打ちした娘だ。
ブサメンの全裸を見てくれた近衛騎士様だ。
鎧を身につけてなかったから気づけなかったけど間違いないわ。
近衛騎士はこっちを見ることなくカウンターの奥にいるマスターにオーダーをする。
「マスター、いつもの。」
「お、エリスちゃん、もうこっちに帰ってきたのかい?妹さんの誕生日でお休み貰うって言ってなかったっけ。」
エリスちゃんって言うのかー。
かわいい顔してるなー。
ジーっと見てるとエリスちゃんがこっちを向いた。
ヤバイ!!!
「どうしました?初めて見かける方ですね。旅の方ですか?」
「あ、はい、実は昨日こちらに来まして。ちょっとここの地域のお酒を飲んでみたいなぁと思い至りまして。」
っぶねー。こっちに気づいてなさそうだ。
まぁ洋服着てるしちんこ小っさくなったしな。
とりあえずバレる心配はなさそうだ。
「なるほど、ここの酒場には私の地元の果物が使われてるんですよ。私の職場の人たちは全然来ないので一人になりたいときとか地元に帰りたいときとかよくここに来るんですよ。」
笑顔も絶品だな。
剣も持ってないみたいだし安心していいだろ。
「先ほど頂いた赤いカクテルはものすごく美味しかったですよ。このレッドパールってカクテルなんですけど好物になりそうですよ。」
「あ!それ、うちの実家で栽培したものが使われてるんです!ありがとうございます。」
「おぉ!そうだったんですね!だったらマスター、もう一杯レッドパールっていうのをもう一杯ください。」
「はいよー。」
エリスちゃん、めちゃくちゃ嬉しそうだな。
なんていうか、こっちも楽しくなってきたな。結構飲んだから俺も酔ってるな。
「エリスさんは妹さんのお誕生日だったんですね。おめでとうございます。」
「ありがとうございます。けど結局呼び戻されちゃって、お祝いが出来ずに帰ってきちゃいました。」
何と不憫な。
前の世界でもあったわ。有休消化しろって言われてなんとか都合つけて旅行までプランしたのに行きの新幹線のなかで上司から呼ばれてとんぼ返りした記憶。っていうか旅館の宿泊代返してくれよ・・・。
「そうだったんですね。それは残念です。」
「まぁしかたないんですけどね。」
「それで今夜は実家に帰りたくなってここに来たと・・・」
え?
エリスちゃん、まさか・・・。
えぇ・・・。ノーブラじゃん。
「そうなんですよ。せっかく久々の家族団欒が・・・ってそれ・・・。」
エリスちゃんの視線がブサメンの顔から下がっていく。
そこには、おうふ・・・。
こんばんは、我が息子、今宵も元気で何よりだよ。
転生したらブサメンのまま巨根にさせられた話 マダガスカルゆみこ @hatabow0721
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