巨根、舌打ちされる
白い部屋から一転、草原に全裸で放り出された俺はとりあえず自身のステータスを確認したかった。
転生したのは良いものの見える範囲での外見は変わっていない。
「ステータスオープン」
何も出てこないんだけど……
えぇ…なんか神様はスキルをくれたとか言ってたけど全然何にもひらめくものとかないよ。
寒い…心まで寒い気がしてきた。
季節的には春なのか新緑の木々があちらこちらに見受けられる。周囲をぐるっと見渡すと2キロほど先に町があった。奥にはお城みたいなものも見える。町の入口から草原に向かって舗装されてない道が見えたのでとりあえず道に向かって進もうかな。全裸で町に入って即逮捕とか嫌じゃんね。
道の近くまで歩いてきたところ町の反対側から馬がものすごいスピードで走ってきた。
馬の足音が近づくにつれて誰かが馬にまたがってるのも見えた。
すんげぇ美人さんだった。
年齢的には十代後半から二十代前半、馬に乗ってることも相まって長いブロンドの髪が風で揺らめく姿は絵画の一枚になってもおかしくないすら思った。
服装は銀色の薄い甲冑?みたいな感じ。
胸の部分と腰回りが纏われてて青いマントを羽織っている。腰には精巧な装飾をされた鞘に細い剣が収まってる。
急いで走って道に出て声をかけてみる。
「あの〜!すみません!!!ちょっとお尋ねしたいのですが!!!!」
バッチリ目があった。
と思ったら視線が下に行きギョッとした表情に変わった。
また目があったと思ったら
「チッ」
と舌打ちをしてそのまま過ぎ去ってしまった。
「そりゃあ全裸で話しかけられたら逃げるよなぁ」
大丈夫。
前の世界なら服着てても目が合うだけで舌打ちされたこともあるし大丈夫。
きっと馬の足音で俺の声が聞こえなかったんだよ…
今のステータスは分からないけどとりあえずメンタルは弱くない。
うん……
お馬さんが町に入っていったのを見送って一度冷静になって考えてみた。
やっぱ服が必要だろ。
追い剥ぎにでもあったことにして次に来た人に平身低頭、ご機嫌を伺いながら助けて下さい的なアプローチをしてみるか。
道の周囲に腰から下くらいまでを隠せる草むらを見つけてじっと次のターゲットを待つ。
待つ
待つ
待つ
時計がないからわかんないけど恐らく三時間くらい経過したと思う。
日が西に傾いてきて空が赤みを帯びてきた位でやっと次のターゲットがやってきた。
おっし!今度はおっさんだ!馬車を引いててノロノロ走ってるからちゃんとこっちの声も聞こえるはずだろ!
「あの、大変申し訳無いのですが…。」
おっさんがこっちを向いてくれた。
あ、気づいてくれた。
「なんじゃ?そんなところで何やっとんじゃ?」
よかった。
言葉伝わったわ。
「いや、実は追い剥ぎにあいまして身ぐるみ全部剥がされちゃいまして…。お洋服を貸していただけないかなぁと…」
どうよ?どうなんよ?
「そりゃあ大変じゃったなぁ。まぁ大した服は貸せんが丁度仕入れてきた服を貸したるわ」
よっし。
なんとか最初のクエストクリアだ!
「誠にありがとうございます。後日クリーニングに出してお返しいたします。」
「クリーニングってなんじゃ?まあええわ。ほんならこっち来い。町まで乗せたるわ」
やった!
やっと俺の冒険がスタートラインに来たぞ!
草むらから立ち上がっておっさんの馬車に向かって歩き出す。
おっさんは荷台から服を引っ張り出してる。
「お前さん、どこから来たん?」
「ん~、旅人と申しますか。あっちこっち回ってます。」
こんな感じで言っておかないと具体的な地名一つも知らないもんな。
「ほぉ〜、そんなら追い剥ぎにあうこと場合もちゃんと考えとかんとなぁ」
全くだ。そこら辺の言い訳考えてなかったな。
「ははは、五人に囲まれちゃってですね。」
「そりゃ災難じゃったな。おぉ!あったあった!これでも着…ちんこでっか!!!」
ハハハ…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます