第6話 ギルドの説明

「とりあえず、立って話すのもなんだからそこに座りなよ」


 次の日の9時、昨日話したギルマスの部屋から少し離れた小さな会議室で、俺たちは向かい合って座る。


「じゃあ、ギルドの説明を始めるか」


 そう言ってまず簡単なギルドの概要を話し始める。


「まずはギルド名から。ギルド名は《果ての探索者》。現在のメンバーはギルマスと俺、あと2人、金井 海奈と黒木 隼人の計4人」


 まず、ギルドとはダンジョンでお金を稼ぐことを仕事としている会社みたいなものだ。


 一年前までダンジョン攻略を行なっていたが、現在はメンバーの人数の問題で最高層に挑めなくなったため、中層メインを攻略するギルドになった。とは言っても一人一人の実力はかなり高いため、他のギルドよりも人数は少ないがかなり稼いでいる。逆にいえば一人の負担がかなり大きいということだが。


「次にメンバー個人についてだけど、まずギルマスの河野みゆき。ギルマスは魔法の天才だけど、今のギルドのメンバー不足からダンジョンに潜ることなく書類確認などの雑務をメインに行っている」


 今の体制になる前のギルマスは本当に強かった。個人的には最強の魔法使いだったと思っている。


「次は雪葉が会ってない2人だな。

 1人目は金井海奈さん。海奈さんは俺の2つ上の19歳で大学生に通いながらダンジョン攻略をしてる。高い身体能力を持ってる女性剣士で、俺と同じでソロ活動中。

 2人目は黒木隼人さん。隼人さんは24歳の社会人攻略者で一番の稼ぎ頭。このギルドでダンジョンに潜らないギルマスを除けば1番強い。ダンジョンから帰ってくることが少ないから会うことは少ないと思う」


 と一通り説明する。


「金井 海奈さん。私、憧れてたんですよね。蓮斗さんと同じでソロ攻略者。しかも、女性剣士なんてかっこいいじゃないですか!」


 と目をキラキラさせて言う雪葉に


「そうなのか。海奈さんには近いうちに会えると思うからその時、本人に詳しく自己紹介してもらいな」


 と俺は答える。


「会えるの楽しみです!」


 と嬉しそうな表情をする雪葉に俺は軽く微笑む。


「それで、最後は俺だな。一応軽く自己紹介はいいか」


「一緒に戦うギルドの先輩なので詳しく知りたいですよー」


 と不満そうな表情を浮かべる雪葉。


「しょうがない。ギルドの情報だけな。相模 蓮斗。歳は16歳、剣士だ。一応、中層をメインにソロで活動している」


 と軽く自己紹介をする。


「あ、はい!ありがとうございます。あの、今、剣士って言いましたけど、蓮斗さんは魔法も使えるんですか?」


 と質問してくる。


「いや、俺は初歩の魔法しか使えない純粋な剣士だよ」


 と説明する。


「そーなんですね」


 と言いながら雪葉は何度か頷いていた。


「じゃあ、次は雪葉のことを少し話して欲しい。ダンジョンでの役職とどれくらいの実力かでいいから」


 そう頼んで雪葉の話を聞かせてもらう。


「一応、魔法使いですけど、殆ど魔法が使えなくて」


 魔法使い。現在のうちのギルドには戦力になる純粋な魔法使いはいない。なので雪葉が強くなればパーティ補強ができかなりの戦力になる可能性がある。そうなれば最高層の攻略に戻れるかもしれない。


 なら、俺がするべきことは雪葉を強くすることだ。ギルドの一員になった以上、雪葉には早く戦力になってほしい。


 俺はそう決意する。


「わかった。それじゃあ、次はギルドの方針についてだが」


 そう言って方針を話し始める。


「今、俺たち、《果ての冒険者》は資金が少なくて遺跡に関する依頼をこなしているだけの状態だ。本当ならそれを雪葉にも手伝って欲しいと言いたいところだが、初心者で戦略としてまだカウントできない。だから、まずは自己強化に専念して欲しい。ギルマスからの許可が降りれば俺もそれを手伝うって形で」


 そして続けて、


「まあ、うちはギリギリだから早く強くなって欲しいってのが本音だけど、無理せずに頑張ってくれ」


 と付け足す。


 それを聞いた雪葉は


「わかりました」


 と返事をした。


「最後に、このギルドは過去の《果ての探索者》とは違う。だから、昔の《果ての探索者》のことは忘れてくれ。そのかわりと言ってはなんだが、俺が新しい《果ての探索者》として君が納得できるギルドする。だから、雪葉も失望しないで着いてきて欲しい。それが俺からのお願いだ」


 と締めくくると雪葉は


「はい!全力で着いていきます!」


 と元気よく返事をした。


「これでギルドとしての説明は終わり。後はギルドで活動してみて、何か疑問に思うことがあったら俺に聞いてくれ。それじゃ、今日から同じギルドメンバーとしてよろしくな」


 と締めくくりこの場を解散とした。

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